知っておきたい住宅の基礎知識~構造・工法編④~
憧れの鉄筋コンクリート造メリットとデメリット
耐用年数は70年、親から子、孫へ
「知っておきたい住宅の基礎知識~構造・工法編」の最終回は、鉄筋コンクリート(RC)造について。RC造といえば、建築家・安藤忠雄さんの世界を想像する人が多いと思いますが、そのメリットとデメリットについて、「南方設計」(和歌山市十二番丁)の南方和夫さん、一晃さんに教えてもらいました。
「RC造とは、柱や梁(はり)などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用いた工法で、日本では、1923年の関東大震災以降に普及。70年代に入ってRC造住宅の建設が増えました」と和夫さん。現在、一晃さん家族が住んでいる住居は、74年に和夫さんが設計したRC造住宅で、「カナダから資料を取り寄せ、当時はまだ珍しかった防湿と躯体(くたい)の換気に配慮しました」と話します。それから43年たった一昨年、一晃さんが大リフォーム。「構造そのものに目立った損傷はなく、躯体はほぼさわらず、間取りを少し変更し、内壁や外壁、床をやりかえました」と。
2人の会話からも分かるように、RC造は耐用年数が非常に長いのが特徴。和夫さんは、「個人用のRC造の法定耐用年数は70年。今後、リフォームの需要が増えてくるのではないでしょうか。メリットでいえば、コンクリートは圧縮される力に強く、鉄筋は引っ張る力に強いという特性から、耐震性に有利に働き、遮音性、防火性、防蟻(ぼうぎ)性にも優れています」と説明。一晃さんは、「RC造は、建築当時の設計図面や構造計算書が残されているので改修計画が立てやすく、耐震壁にさえ気を付ければある程度自由に改修できます」と付け加えます。
一方、デメリットはやはりコスト。新築に関しては木材、鉄骨よりも材料費がかかるだけでなく、建物重量が重いため、基礎工事にも費用がかかります。また、相応の断熱対策も欠かせません。とはいうものの、木造や鉄骨造に比べて確かに初期費用はかかりますが、世代を超えて住まいを受け継いでいくというヨーロッパ的な考え方で、高性能な住宅に長く住まうという点では、決して高い買い物ではないのかもしれません。 (おわり)
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