取得額が不明の場合は譲渡価格の5%
和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・岩端芳則さんが、相続物件の売却についてアドバイスするシリーズ。最終回は決済から物件の引き渡し、譲渡所得税について解説してもらいます。
不動産売買契約を結んで、買い主が資金を準備できたら、後は手付金・申込金を差し引いた残代金を決済して物件の引き渡し。「売り主は、引き渡しまでに火災保険、地震保険の解約手続きを。また、相続物件ならほとんどないと思いますが、住宅ローンの残債がある場合は、『抵当権抹消』の手続きが必要なので金融機関に事前に連絡を」と岩端さん。
残代金の決済は、売り主、買い主、司法書士と仲介業者が金融機関に集まって行うのが一般的。売却物件の所有権が複数に渡る場合は、全員の立ち会いが必要。所有権移転登記や、買い主が住宅ローンを利用する場合の抵当権設定登記など当日の手続き、申請は司法書士が対応してくれます。登記書類が整ったら融資実行を金融機関に依頼。売り主が入金を確認した時点で、領収書を買い主へ渡します。固定資産税の清算金などもこのタイミングでやりとり。
売り主も、司法書士への登記費用・手数料を支払わなければいけません。建築確認通知書や検査済み証などの原本と鍵を買い主に渡し、「売買物件引き渡し確認書」に署名して押印すると取り引き完了。最後に、宅建業者に仲介手数料を支払います。
ですが、ここで岩端さんが売り主に注意喚起。「不動産を売却すると、売却によって発生した利益に対して、譲渡所得税という税金が発生します」と。売却不動産の所有期間が5年以下、5年以上で税率は異なり、当時、その物件を取得した金額より売却額の方が低ければ利益は生じないので課税はされません。しかし、当時の取得額が売買契約書や領収書などで確認できなければ、譲渡金額の5%が取得費とされるので、不動産契約の書類はくれぐれも大切に保管してくださいね。
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