屋外電源から給電する停電対策も
今月は防災月間です。シリーズ5回目は避難所になる住まいについて。高気密・高断熱・全館空調・耐震設計の家を手掛ける「三幸建設」(和歌山市狐島)の設計部長で、1級建築士や地震被災建築物応急危険度判定士の資格を持つ、根来昌生さんに聞きました。
「在宅避難するには、倒壊の危険が少ない家であることが大前提です。まずは、災害に強い家づくりを」と、根来さんは話します。「ハザードマップで立地の災害リスクを確認し、例えば、浸水対策として床を上げたり、強風の飛来物による破損を防ぐ間取りにしたりなど、予想される被害を最小限に抑える設計や建築を行います」。地震に備えるなら、建物の耐震性能を示す「耐震等級」を目安に。「最も耐震性が高いと評価されるのが等級3です。また、繰り返しの揺れに強い制震構造にするのも効果的です」と、アドバイスします。
避難生活で困るのが、停電や断水です。「太陽光の電気をためる蓄電池や、電気自動車を非常用電源に活用するV2Hなど、家に発電・蓄電機能を備えることで、最低限の生活が送ることができます。断水時は、エコキュート(省エネ給湯器)のタンク内の水を緊急時の生活用水として使うことも可能です」。また、ガスと水道が使えれば、一部のエネファーム(家庭用燃料電池)で発電と給湯が行えます。
一方で、V2Hやエネファームなどの発電・蓄電機能を導入するのに、初期費用が高額になるデメリットも。これに対しては、「エコカーや発電機などの屋外電源から住宅へ電気を供給する停電対策システムもあります」と話す根来さん。「AC100ボルトコンセント付きの車なら、車種を問わず給電が可能。また、太陽光で発電した電気を停電時でも配電できます。この給電システムなら、費用は30万円程度。防災対策として比較的導入しやすく、弊社の新築住宅は全棟標準仕様としています」とも。
能登半島地震で多発した火災は電気が起因と考えられています。「地震の揺れでブレーカーを落とす『感震ブレーカー』を付けることで、自宅や隣家を火事から守れます」とも話していました。
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