治療の最前線! 専門医に聞くvol.25
高齢者に多いそけいヘルニア
足の付根が膨れたら外科へ

 そけいヘルニアは俗称・脱腸とも呼ばれ、高齢者に多く、外科で診る疾患の一つです。外科手術の中で、そけいヘルニアの手術が最も多く、日本では年間約15万件もの手術が行われています。しかし、人口当たりの手術件数は海外よりも少ないといわれていて、その原因に、“そけいヘルニア”という病気があまり知られていないことが挙げられます。

そけいヘルニアとは、足の付根にある腹壁の筋膜が弱まることで、筋肉と筋肉の間に穴ができ、腸などの臓器が飛び出してしまう疾患です。足の付根が膨れたり、へこんだりして、時には痛みや違和感を伴います。“リンパ節の腫れ”と間違われやすいですが、そけいヘルニアの場合、足の付根を手で押したり、横になると、膨らみが元に戻りますが、リンパ節の腫れの場合では、元に戻らないことが特徴です。

そけいヘルニアは痛みを伴わないこともあるので、症状があっても、医療機関を受診しない人がいます。しかし、放置しておくと、穴から飛び出した腸が元に戻らなくなる嵌頓(かんとん)のリスクがあり、腸が締め付けられて壊死(えし)する可能性があります。

そけいヘルニアの治療は手術ですが、患者さんの全身状態を考慮し、手術をせずに経過を診ることもあります。従来は、そけい部を切開していましたが、最近では腹腔鏡下手術も増加。腹腔鏡の場合、傷が5㍉~1㌢と小さいので、術後の痛みが少なく、入院期間が短いメリットがあります。足の付根の膨らみなど、気になる症状がある人は、かかりつけ医に相談を。
(済生会和歌山病院外科・中井博章)

中井博章医師

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