治療の最前線! 専門医に聞くvol.24
“五十肩”だと思いがちな痛み
自分で判断せずに整形外科へ

 40~60歳代に多い五十肩。肩が痛くなって動かさずにいると関節が固まり、やがて痛みが治まっても肩があがりにくくなってしまいます。痛みが続きながらも自然と治まることが多いため、この年代の人は、肩が痛くなると「五十肩だ」と自分で判断しがち。しかし、その痛みには、他に原因があるかもしれません。

例えば、肩を動かす筋肉・腱板(けんばん)が切れる「腱板断裂」や、腱板に石灰化が生じて炎症を起こす「石灰沈着性腱板炎」。40~50歳代に多いのは「頚椎(けいつい)症性神経根症」で、首からの神経が圧迫され、肩が痛む場合もあります。

腱板断裂なら、痛みがあるのに無理をして肩を動かしていると、さらに断裂が大きくなってしまう可能性があります。石灰化が起こっている場合は、注射で炎症を止める治療を行います。頚椎症性神経根症には、神経に効く鎮痛薬を使います。五十肩だと思い込み、これらの疾患を見逃すと、肩の痛みがひどくなったり、治まらず痛みが長引くばかりです。自分で決めてしまわず、まず整形外科を受診しましょう。

五十肩なら、姿勢の改善やリハビリテーションで治療を進めます。それでも長引く症例には、エコーを使って神経に麻酔をかけ、医師の手で肩を動かしてこわばりをはがす「サイレントマニュピレーション」という治療法を外来で行うこともできます(入院は不要)。ただし、肩に骨折などのけがや手術の経験がある場合は、外科的な治療をすることもあります。肩関節は夜に痛むことが多く、眠れないほど困っている人は、早めに受診を。
(済生会和歌山病院 整形外科・藤木貴顕)

藤木貴顕医師

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