治療の最前線! 専門医に聞くvol.18
適度な運動は高血圧を防ぎ
腎臓の働きにも好影響

 腎臓と血圧は大きく関係します。腎臓は食事からとった余分な塩分を尿とともに体の外へ追い出す働きをしています。ところが、腎臓の働きが悪くなると塩分が排せつされにくく、体内にたまります。私たちの体には塩分濃度を一定に保とうとするしくみがあるので、体内の水分量が増えます。水分量の増加に伴って血液量が増え、血管内の圧力が高まると高血圧になります。すると、腎臓の毛細血管が傷ついたり、負担が大きくなったりして、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環が生じやすくなります。したがって、腎臓の働きを守るためにも、血圧をコントロールすることはとても大切です。

 高血圧予防には減塩を中心とした食事、適度な運動が挙げられます。食塩摂取量は1日6グラム程度を目標に。夏は脱水予防にナトリウムを含んだ水分補給も重要です。野菜やイモ類、果物に多く含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムの排出を促す働きがあり、高血圧予防に役立ちます。ただし、腎臓病でカリウム摂取制限がある場合は注意してください。

 腎臓にはろ過機能を担う糸球体という毛細血管の塊があります。適度な運動をすると、糸球体の出口の血管(輸出細動脈)が広がることが分かっています。出口が広がれば圧力も下がるため、糸球体にかかる負担が減り、腎臓の働きにも良い影響を与えます。週3~5回のウオーキング、ストレッチ、筋力トレーニングなどの適度な運動は降圧作用をもたらし、腎臓を守ることが期待できます。さらに心臓の保護にも効果を発揮します。
(済生会和歌山病院腎センター部長・岡本昌典)

岡本昌典部長

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