9月の防災月間に届ける「自然災害に備える住まいづくりシリーズ」。今回は、和歌山県建築士事務所協会(和歌山市卜半町)の角泰宏さんに、「地震の揺れ、台風の風に耐える家」について話をしてもらいました。
「建築基準法で耐震基準も基準風速も定められています。耐震基準は1981年に新耐震基準に改正され、以降に建てられた住宅は、『耐震等級Ⅰ』は最低限満たしています。基準風速は、都道府県によって数値が異なり30m/秒~46m/秒、和歌山県は34m/秒と規定されています」と角さんは説明します。
ちなみに、「耐震等級Ⅰ」で、数百年に一度程度の地震(震度6強~7程度)で倒壊や崩壊しない、数十年に一度発生する地震(震度5程度)で住宅が損傷しないレベル。「耐震等級Ⅱ」でその1.25倍、「耐震等級Ⅲ」で1.5倍の地震力に耐えられる耐震強度と定められています。
「等級は構造設計上の数値であり、実際に震度7の地震が起きると果たして…。プレート型、直下型でも被害は違いますし、規模が小さくても振り幅などで倒壊してしまう可能性も。『耐震』に、建物自体の揺れを低減させる『制震』、地面の揺れを建物に伝わりにくくする『免震』をプラスすれば、安心は高まりますが、コストもかかります」と角さん。一方、風速に関しては、先日九州に接近した台風10号の最大瞬間風速は、長崎市で59.4mを観測。「日本の気候が温帯から亜熱帯へと変わってきていて、海水温が上昇している今、今後、今回レベル以上の台風が発生することも予想されます。34m/秒での基準では危険を感じる機会も。しかし、地震と違って台風は“予測”ができるので、危険と思ったら避難を」と。
最後に、角さんに尋ねてみました。揺れにも風にも強い家って…?
「基本的には、建築基準法の基準を守って建てられた家ならば、揺れにも、風にも耐性があります。それでも、不安なら、沖縄県の伝統家屋でよく見られる、石垣などで家の周りを囲んだ“暴風壁”で備えてみるのも一つの方法です」と教えてくれました。
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