毎日生き生き健康通信vol.55
マイコプラズマを知っていますか?
4年に1度流行する感染症に注意
- 2024/7/25
- みんなの健康
- 内科の先生に聞きました!(毎日生き生き健康通信)
若い人ほど発症しやすく、肺炎に注意
マイコプラズマ感染症は、4年に1度オリンピックの年に流行しやすいといわれています。最近は、コロナウイルスの流行により、マイコプラズマ感染症の流行時期がずれていましたが、今年は例年より多く、冬に限らず夏も注意が必要です。
“肺炎マイコプラズマ”と呼ばれる細菌が原因となり、感染すると咳(せき)や高熱など、風邪のような症状が出ます(左記チェックリスト)。痰(たん)を伴わない乾いた咳が特徴で、熱が下がってからも、咳だけが長引くことがあります。
肺炎マイコプラズマは、飛沫(ひまつ)によって人から人へ感染します。大人もかかりますが、多いのは5~12歳と、若い人が中心です。幼稚園や保育園など、子どもが集まる場所で局所的に流行し、家庭内で感染が広がります。感染が疑われると、抗体検査や抗原検査を行いますが、潜伏期間が2~3週間程度かかる人もいて、忘れていた頃に感染に気づき、どこでうつったか分からないことが多くあります。
マイコプラズマ感染症は、進行すると20人に1人の割合で、肺炎を起こす可能性があります。肺炎には、“定型肺炎”と“非定型肺炎”があり、マイコプラズマ肺炎は非定型肺炎に分類されます。両者は症状や治療法が異なるため、鑑別した上で治療することが大切です。定型肺炎は、痰を伴う咳があり、ペニシリンなどの一般的な抗生物質が有効です。一方、非定型肺炎はペニシリンが効かず、マクロライドやニューキノロン系と呼ばれる抗生物質で治療。中には、マクロライドに耐性を持つマイコプラズマもあり、この場合、治療に使う薬が限られてしまいます。
マイコプラズマ肺炎は若者に多く、市中肺炎の起炎菌として、肺炎球菌やインフルエンザ菌に次いで多く報告されています。痰を伴わない咳など、気になる症状がある人は、かかりつけ医まで相談を。
(辻本直貴)
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