栄養バランスを意識して健康維持を
暑さで食事の量が減ったり、あっさりしたものしか食べられなかったり、偏った食事になっていませんか。今回は、高齢者を中心に食欲不振や嗜好(しこう)の変化などで起こりやすいとされる「低栄養」について。和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部で話を聞きました。
総菜や缶詰なども上手く活用
健康維持に欠かせないのが食生活。“バランス良く食べている”と思っていても、実際は栄養素に偏りがあることも。日本は「飽食の時代」とされつつ、現代人の食と健康事情は良好とは言い難いのが現状。中でも高齢化が進むにつれ、カロリーやたんぱく質が不足する「低栄養」が問題となっています。
和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部・西理宏部長(写真)は、慢性的な疾病、消化機能や飲み込む力の衰えといった加齢による体の状態の変化など、高齢者における低栄養の原因を挙げ、「たんぱく質が不足すると、体重が減少し、それに伴い筋肉量が低下。体力・活気が失われ、コロナウイルスといった感染症に対する免疫力も弱くなる他、傷が治りにくい、低たんぱく血症によるむくみなど、悪循環に陥ります。また、フレイルにもつながります」と説明。
低栄養は早期発見・対応が大切。徐々に体重が減少してくる場合や食欲の低下、疲労感が続くなど、“もしかして”と思ったら、かかりつけ医に相談しましょう。低栄養と診断されたときは、乳製品や卵など高たんぱくで高カロリーのものを中心に摂取するなど、すぐに食生活の見直しを。「一度に多くの量を食べられないときは、食事の回数を増やすことも有効。味付けを変えたり、食べやすいように食材を切ったりして、手法を変えてみるのもポイントです」と話します。
低栄養を防ぐためには、日頃から肉や魚、野菜、穀物、乳製品などをバランス良く食べるように心掛けることが大切。とはいえ、何品目も取り入れた料理を毎日作るのは大変です。西部長は「そんなときは、総菜や缶詰などを上手く活用してみては」とアドバイス。
おうち時間が増えた今、普段の食事を一度見直す機会に。ちょっとした工夫で日々の生活がより楽しくなるかもしれません。
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