歯周病を治療して全身の健康へ
11月14日は世界糖尿病デー。糖尿病と歯周病とは、実は深い関係にあります。また、メタボリックシンドロームとも関係しますし、動脈硬化とも関係します。さらに、生活習慣は、糖尿病やメタボリックシンドローム、歯周病とも関係します。
歯周病は、口の中のある細菌による慢性感染症と考えられ、病巣でさまざまな炎症関連物質が作られ、血液を介して全身に運ばれます。歯周病と生活習慣や全身の基礎疾患との関わりについて、最近、この炎症関連物質の役割がクローズアップされています。中でも糖尿病に関しては、分子レベルの研究成果により、歯周病が、糖尿病の合併症である腎症(腎機能障害)や網膜症(視力低下)、神経症、大血管障害、小血管障害に次ぐ6番目の合併症にあげられるほどになりました。また、心臓や血管の病気では、梗塞を起こした部位から歯周病の原因と考えられる細菌のDNAが見つかるなど、相互関係が明らかになりつつあります。
関係が深い基礎疾患には、糖尿病や動脈硬化を伴う狭心症、心筋梗塞・脳梗塞の他、関節リウマチ、内臓型肥満などがあります。また、喫煙は口腔がんの危険因子になるだけでなく、歯周組織の修復機能を障害したり、細菌の病原性を強化したりすることから、歯周病の悪化などにつながると報告されています。
糖尿病を語る上で、「金平糖」をイメージするとわかりやすいと思います。糖尿病は、血中にこの金平糖がたくさん流れている状態と考えてみましょう。つまり、高血糖状態は、ギザギザの金平糖が血管内にぎっしりあり、これらが周囲の血管壁を傷つけることで動脈硬化などを起こします。HbAlcの値に30を足してみて、その数字を体温だと考えてください。例えば36.0~36.5なら、平熱ぐらい、37なら少し高めでしょうか、42なら大変です。ご自身の数字を当てはめてみましょう。
歯周病と糖尿病の関連性を見ると、早期からの医科歯科連携が必要です。その中でも歯科における「食べる楽しみ」をいつまでも維持し、健康長寿に貢献するために、歯科医師会は一丸となって努力したいと思います。
(和歌山県歯科医師会 会長・中西孝紀)
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