前回から、歯や口腔内のトラブル予防とケアについて、ライフステージに沿って解説しています。今回は胎児期の2回目として、妊娠期のケアや、胎児の歯の形成についてまとめます。
まず、妊娠期4〜6カ月ごろの安定期になったら、歯科健診を受けましょう。健診を受け、治療が必要になった場合は、つわりや流産、早産のリスクを考えて、安定期に治療を受けるのが望ましいでしょう。受診時には、母子健康手帳を出して、産婦人科医から注意を受けていることなどがあれば、どんなことでも歯科医師に伝えるようにしましょう。
妊娠中のお母さんに知っておいてほしいことは、赤ちゃんの歯は妊娠中につくられ、歯の質はこの時期にほぼ決まってしまうということです。
乳歯の芽である歯胚は、妊娠7週目ごろからつくられます。妊娠4カ月ごろからは、歯胚にカルシウムやリンなどが沈着し、かたい歯がつくられていきます。
母体の健康を保つことはもちろん、妊娠中は胎児への栄養補給としてバランスのとれた食生活が大切ですね。また、〝強い歯〞をつくる食べ物があります。
まず、「ビタミンA」は歯のエナメル質の土台を仕上げる材料に、「ビタミンC」は、歯の象牙質の土台を仕上げる材料となります。次に、「ビタミンD」は、カルシウムの代謝や石灰化の調整役を果たします。また、「良質のタンパク質」は、歯の基質の材料に、「リン」や「カルシウム」は、石灰化のための材料となります。
妊娠中も歯のケアやバランスよい食事を心がけましょう。
(和歌山県歯科医師会・地域保健委員会)
関連キーワード