正しく理解する認知症 第2回 認知症予防(認知症と生活習慣病)
- 2016/2/4
- コーナー
- 正しく理解する認知症
日ごろの過ごし方で気をつけたいこと
発症する前からの生活習慣の積み重ね
糖尿病、高血圧症、脂質異常症は改善を
認知症は、少し前までは防ぐことができない病気とされてきました。
しかし、近年、認知症を発症する前段階である「MCI(軽度認知障害)」が注目され、適切な予防や治療を行えば、認知機能の低下を遅らせることや、回復する可能性があることが分かってきました。同時に、中年期から生活習慣を見直し、改善することで、認知症予防につながることも分かってきています。
認知症の発症の原因疾患の約7割は、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」とされています。
アルツハイマー型認知症の原因物質は、発症の約25年も前から脳にたまり始めるというデータがあります。この物質はインスリンに関係があり、糖尿病にならないように注意が必要といわれています。
また、脳血管性認知症は、脳の血管に障害が起きると発症しやすくなります。
中でも、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は、脳の血管を傷めたり、脳の血流に影響を与え、認知症を発症するリスクを高くするといわれています。特に、高血圧では、老年期になって高血圧になった人よりも、中年期に血圧の高かった人の認知症リスクが高いとされています。
そのほか、肥満になる生活をしていることが、さまざまな病気を引き起こす原因となります。さらに、過度の飲酒や喫煙も認知症発症の危険因子とされています。ストレスをためない生活も重要で、ストレスから暴飲暴食や睡眠不足になったりします。睡眠不足は認知症と関係があるとされていますので、注意が必要です。
このように、認知症は発症する前からの生活習慣の積み重ねに関係があり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病を予防することは、認知症予防にもつながります。生活習慣病の疑いがある場合は放置せず、きちんと治療することが大切です。
(和歌山市地域包括支援課/保健師・中村泰示)
認知症予防に心がけたいポイント
①食生活に気をつけましょう
- 塩分を控えめに、バランスの良い食事を心がける
- 青魚や野菜、果物を積極的に食べる
②日常生活を見直しましょう
- こまめに動く
- 喫煙は控える
- 趣味やスポーツに取り組んだり、さまざまな活動を通して、生活を楽しむ
- 夜更かしをしすぎず、早く寝る習慣を付ける
③生活習慣病を治療しましょう
- 生活習慣病を疑われたら放置せず、きっちり治療する
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