正しく理解する認知症 第2回 認知症予防(認知症と生活習慣病)

日ごろの過ごし方で気をつけたいこと

発症する前からの生活習慣の積み重ね
糖尿病、高血圧症、脂質異常症は改善を

認知症は、少し前までは防ぐことができない病気とされてきました。

しかし、近年、認知症を発症する前段階である「MCI(軽度認知障害)」が注目され、適切な予防や治療を行えば、認知機能の低下を遅らせることや、回復する可能性があることが分かってきました。同時に、中年期から生活習慣を見直し、改善することで、認知症予防につながることも分かってきています。

認知症の発症の原因疾患の約7割は、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」とされています。

アルツハイマー型認知症の原因物質は、発症の約25年も前から脳にたまり始めるというデータがあります。この物質はインスリンに関係があり、糖尿病にならないように注意が必要といわれています。

また、脳血管性認知症は、脳の血管に障害が起きると発症しやすくなります。

中でも、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は、脳の血管を傷めたり、脳の血流に影響を与え、認知症を発症するリスクを高くするといわれています。特に、高血圧では、老年期になって高血圧になった人よりも、中年期に血圧の高かった人の認知症リスクが高いとされています。

そのほか、肥満になる生活をしていることが、さまざまな病気を引き起こす原因となります。さらに、過度の飲酒や喫煙も認知症発症の危険因子とされています。ストレスをためない生活も重要で、ストレスから暴飲暴食や睡眠不足になったりします。睡眠不足は認知症と関係があるとされていますので、注意が必要です。

このように、認知症は発症する前からの生活習慣の積み重ねに関係があり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病を予防することは、認知症予防にもつながります。生活習慣病の疑いがある場合は放置せず、きちんと治療することが大切です。

(和歌山市地域包括支援課/保健師・中村泰示)

認知症予防に心がけたいポイント

①食生活に気をつけましょう

  • 塩分を控えめに、バランスの良い食事を心がける
  • 青魚や野菜、果物を積極的に食べる

②日常生活を見直しましょう

  • こまめに動く
  • 喫煙は控える
  • 趣味やスポーツに取り組んだり、さまざまな活動を通して、生活を楽しむ
  • 夜更かしをしすぎず、早く寝る習慣を付ける

③生活習慣病を治療しましょう

  • 生活習慣病を疑われたら放置せず、きっちり治療する

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