使うほどに味わいが深くなる革のバッグや財布。毎日使っていると、傷や汚れなどが気になってきます。また、これからの梅雨時期には水汚れや湿気など、対処方法に困ってしまうことも…。メンテナンスをして、お気に入りを長く使い続けましょう。
使うほどに独特の深い味わいが増すしまったままはダメ、使うことが大切
使うほどに風合いが増し、手にしっくりとなじむ天然の革。お気に入りの製品はいつまでも使いたいものですが、手入れをしないで毎日使い続けていると、傷が付いたり、ひび割れができたり、劣化の原因になります。
「革製品は日ごろのケアが大切。軽い汚れは早めにケアすることで目立たなくなることも」と話すのは、レザークラフト教室「T・N Craft(クラフト)」(和歌山市北新金屋丁)代表の中本富也さん。片付けたままにせず、使うことが大切と話し、「長年愛用することで独特の深い味わいが生まれてきます。触れたときに付く手の油分が革の保護にも」とアドバイス。
梅雨時期は、水濡れがシミや型崩れの原因になることも少なくありません。後で後悔しないためにも、この機会にお手入れを!
中本さんに皮革の手入れやメンテナンスの方法について教えてもらいます。
また、和歌山県内で有害駆除されたシカの皮を地域資源として利活用する動きもあります。古座川ジビエ振興協議会(古座川町)と連携し、シカ革の製品を手掛ける「シュエット ドール」(白浜町)のレザーブランドを紹介します。
今日から始めよう! 皮革のケア
経年変化を楽しむためのメンテナンス。押さえておきたいポイントを紹介します。きれいな状態を保ちながら長く愛用するためにも、日頃のちょっとしたお手入れに気を配ってくださいね!
Q皮の種類・加工
動物の皮をなめし、製品化したものを「革」といいます。「なめし」とは汚れを落とし、革を柔らかくする技術のことで、革の特徴を大きく左右します。なめしの方法は、植物のタンニンを使った「タンニンなめし」と化学薬品を使った「クロームなめし」に大きく分けられます。
革素材は、最も多く利用されている牛革をはじめ、豚革、羊革、山羊革、鹿革、馬革、エキゾチックと呼ばれるヘビ革やワニ革など。“きめが細かい”“光沢がある”など、それぞれ特徴があります。革は加工の仕方で、ヌメ革、スエード、ベロア、ヌバック、型押し、エナメルなどと呼ばれています。
革の中でも厚く、しっかりとして丈夫。最も多く利用されています | |
よく見ると、表面に三角形の穴(毛穴)が。薄くて、軽いのが特長です | |
革の表面にエナメル塗料を塗って仕上げています。キラキラとして美しい光沢 |
Q 傷が付いたり、こすれたりしたときは
使い続けていると、傷が付いたり、こすれて色がはげたりしてしまうことも | |
目立つ傷は、革専用の塗料かアクリル絵の具を使います。革の色と近くなるように色を調節して | |
細めのはけ、または筆で少しずつ色を塗ります | |
綿棒の先に塗料を付け、たたくようにして色をのせていきます | |
最後に綿などの柔らかい布で優しく拭き、仕上げ剤などを塗ります |
Q 汚れや水濡れの対処法
汚れはそのままほおっておくと、革にダメージを与えてしまいます。から拭きやブラッシングでほこりを落とし、表面がきれいになったら、柔らかい布にクリーナーを数滴つけ、軽くたたいて汚れを浮かせ、きれいな布で拭き取り、乾拭きします。
水に濡れたときは、乾いた布で水分を拭き取り、風通しの良い場所で陰干しをします。型崩れ防止に、タオルや新聞紙を入れておくのもおすすめ。乾いた後は、オイルなどで油分を補給しておきましょう。
Q デイリーケアは?
革にとっては水分だけでなく、乾燥も大敵。シワやひび割れなど劣化の原因になるので油断は禁物。
馬毛など、柔らかいブラシで汚れやほこりを落とした後、革専用のオイルやクリームを塗って、柔らかい布で優しく拭きましょう。
オイルケアはやりすぎるとべたつきます。革の状態を確かめてお手入れを。毎日使わず、1日使ったら休ませることも大切です。
店名 | T.N Craft(ティー・エヌ・クラフト) |
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住所 | 和歌山市北新金屋丁76中本富三商店 |
問い合せ | 073(423)0052 |
営業時間 | 午前9時~午後6時(木曜は午後8時) |
休日 | 日曜 |
Q カビが生えてしまった
一度生えてしまったカビは、から拭きをしても完全には取れません。予防が大切です。カビを増殖させないためにも風通しのよい場所に1日置くなど、定期的に取り出し、点検しましょう。 また、雨の日にバッグを使ったときは、水分を含んでいるので、そのままにせず、風通しの良い場所に1日置いて、よく乾かしてから収納してください。
自分でオリジナルの革製品を作ってみませんか。手縫いからカービング技術まで学ぶことができます。初心者でも楽しめる教室です。
日時 | 6月15日(土)から 第1・3土曜 午後10時~正午 |
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講師 | 中本富也さん |
1日体験 | 1080円(材料費キーホルダー800円) |
場所 | リビングカルチャー倶楽部フォルテ教室(フォルテワジマ4階) |
受講料 | 16200円(全10回)※別途、材料費必要 |
申し込み | リビングカルチャー倶楽部フォルテ教室 午前10時~午後6時半(日曜、祝日除く) |
問い合わせ | 073(421)4411 |
古座川町のジビエの皮を利活用 地域ブランド「南紀白浜レザー」を発信
農産物に被害を及ぼすシカやイノシシなど、捕獲された野生の鳥獣肉「ジビエ」がブームとなる中、ジビエを利活用した地域振興が活発化。今まで捨てられていた部位も生かし、地域ブランドとして確立させる取り組みが各地で見られます。
和歌山県の古座川町は、さまざまな人が集まり、2015年度「古座川ジビエ振興協議会」を設立し、活動を展開。18年度に農林水産省の「ジビエ利用モデル地区」として選ばれました。取り組みの一つ、シカ皮の有効活用で連携しているのが、レザーブランド「シュエット ドール」(白浜町)代表で革職人の真鍋吉広さん(写真)。バッグや財布、名刺入れなどを一つ一つ手縫いし、「南紀白浜レザー」として販売。県内を訪れる観光客にも好評で、徐々に認知度を上げています。
真鍋さんは「革として使えるのは約1割ほどですが“やむを得なく捕獲した命。余すことなく使いたい”というみんなの共通の思いがあります。シカ革はとても手触りが良いのが特徴。製品にけがや虫刺されの後をあえて残すことで表情を出しています。製品の良さを発信し、ブランドの価値を高めていきたいです」と話しています。
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