東日本大震災から5年 和歌山の防災の今
- 2016/2/25
- フロント特集
和歌山県は大地震や津波に備えてさまざまな取り組みを行っています。災害時に大活躍する救助犬もスタンバイ。あなたの防災対策は万全ですか。
いつ起こるか分からない自然災害
今一度、みんなで話し合いましょう
平成23年3月11日に発生した東日本大震災から今年で5年。犠牲になった人々の冥福と、被災地の復興を祈るとともに、私たちがしておくべき災害への備えについて考える機会です。
近い将来、南海エリアで起こると予想されている巨大地震。約90〜150年周期で発生する「東海・東南海・南海3連動地震」はマグニチュード8クラス、想定では過去最大の「南海トラフ巨大地震」はマグニチュード9クラスといわれています(参考・平成26年度和歌山県地震被害想定調査)。
下記では、災害時に活躍が期待される救助犬について紹介します。全国的にも珍しい小型の警察犬、ミニチュア・シュナウザーのクリークこと〝くぅ〞は、和歌山県警が実施する委託警察犬資格審査会の「捜索救助」の部門で4年連続合格。さまざまな事態に備えて訓練を行っている藤谷警察犬訓練所(和歌山市西)の、所長・藤谷桂一郎さんに聞きました。
さらに、和歌山県総務部危機管理局危機管理・消防課主事・瀬川大朗さんに、現在和歌山県が実施している防災の取り組みなどについて、聞きました。
大きな災害が起きる前に、私たちができることを、家族や周囲の人と、今一度話し合いませんか。
確認、準備を忘れずに
防災への取り組み
津波の犠牲者ゼロを目指して
カギになるのは情報収集
和歌山県は、災害から県民の命を守るための対策として、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定。避難経路の設定や避難施設、堤防・護岸の整備を進め、津波避難困難地域の解消を目指しています。
また、JAMSTEC(海洋研究開発機構)が紀伊半島沖合いの海底に設置している、リアルタイム観測網「DONET(ドゥーネット)」を活用し、「和歌山県津波予測システム」を開発。津波を直接海底の水圧計で観測し、緊急速報メールでいち早く県民に呼びかけます。「今年元日、県から誤報メールを配信し、ご迷惑をおかけしました。再発防止のため徹底した対策を行っています。今後緊急速報メールがあった場合は、早急に避難を」と瀬川さんは話します。
他にも、情報提供の多様化が図られています。県のホームページ「防災わかやま」(
http://bousai-portal.pref.wakayama.lg.jp/)やメール配信サービス、スマートフォン用アプリ「全国避難所ガイド」「逃げナビ〜和歌山防災〜」、避難時に有効なラジオなどを活用しましょう。
3段階の安全レベル
避難カードを活用
災害時に活躍!
和歌山の救助犬
Q. 救助犬とは?
自然災害などによって行方不明になった人を探し出すよう、訓練された犬。和歌山県では、和歌山県警察が開催する委託警察犬資格審査会で、警察犬として認められた犬が救助犬としても活躍します。
Q. どんな風に活躍するの?
優れた嗅(きゅう)覚を使って、がれきや土砂に埋もれた人を捜索。人を見つけたときは、「ワン!」とほえて見つけたことを知らせます。
Q. どんな種類の犬がいるの?
ラブラドール・レトリーバー、シェパードやボクサーなど、大型犬が主に活躍しています。くぅのような小型犬は、全国的に数が少ないそう。
Q. 救助犬になる犬の条件とは?
「くぅが訓練所に来たころは、人にほえてばかりだった」と藤谷さん。はじめはしつけのために預けられたくぅですが、その頭の良さと嗅覚の鋭さが見いだされ、警察犬を目指すことに。必死で訓練した後、見事小型犬では日本初の警察犬に。
Q. 訓練方法は?
災害救助の訓練は、7分間のうちに、人工的に作ったがれきに隠れた2人の人間を見つけ出すというもの。毎回状況を変えながらトレーニング。くぅは、週ごとに捜索救助、爆発物捜索、臭気選別の3科目を訓練しています。
稲むらの火の館とアチェ津波博物館が協定を締結
濱口梧陵記念館・津波防災教育センターの「稲むらの火の館」と、平成16年のインドネシア・スマトラ沖大地震・インド洋津波の大災害を契機に開館された、インドネシアの「アチェ津波博物館」。両館が、今年1月16日に協定を締結しました。協力し合いながら、世界に向けて津波の防災教育や情報交換を進めていきます。
問い合わせ | 稲むらの火の館 |
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住所 | 有田郡広川町 |
開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は4時まで) |
休館日 | 月・火曜(祝日の場合は開館)、年末年始 |
入館料 | 一般500円、高校生200円、小・中学生100円 |
電話 | ☎0737(64)1760 |
濱口梧陵(ごりょう)の精神を世界へ
11月5日を「世界津波の日」に
安政元年(1854年)11月5日、南海大地震による津波が起きたとき、濱口梧陵が稲の束(稲むら)の火を目印に住民を避難させたという故事「稲むらの火」。これにちなみ、昨年12月、国連総会で11月5日が「世界津波の日」に制定されました。梧陵は、津波から多くの命を救った後、私財を投じて堤防をつくり、村の復興に大きく貢献。そんな彼の精神を広く世界に広めることで、津波に対する国際社会の意識を高め、犠牲者をなくせるように情報発信が行われます。