和歌山県立医科大学が研究論文を発表
成人女性の90%以上の人が経験しているといわれる月経前の不調。月経周期に伴う女性ホルモン量の変化が関係していることは知られていますが、人によって症状や重さがなぜ違うのかは分かっていません。
そうした中、和歌山県立医科大学生理学第1講座・金桶吉起教授らの研究グループは、その症状や重さは母親の胎内にいるときに受ける性ホルモンの量と関連する可能性があることを突き止めました。
2014年度から3年間、和歌山市内の女子大学生403人の協力を得て、手の人さし指の長さを薬指の長さで割った「指比(ゆびひ)」の測定と、月経前症状に関するアンケートを実施。「指比」は、胎生期のホルモン量のバランスを示す指標として研究者らの間で使われていて、薬指が長い人は男性ホルモンが、人さし指が長い人は女性ホルモンが多いということが認められています。
その結果、月経前のめまいや集中力の低下、イライラ、頭痛、下腹部痛、腰痛などは指比と関係していることが判明。右手の薬指が人さし指より短い人ほど、すなわち女性ホルモンが多い人ほど症状が軽い傾向にあり、一方、眠気や体重増加、むくみ、肌荒れといった症状は胎生期のホルモン量との関連性が見られませんでした。
右手の薬指が人さし指より短い人ほど
その症状は軽い傾向に
この研究は、金桶教授が受け持つ医学部の基礎医学実習で行われ、3年間で27人の学生が参加。同大学臨床研究センターのサポートを受け、スイスの国際的学術サイトに研究論文が掲載されました。「指の長さを図って『指比』を出し、アンケートに答えてもらう…、それが何の研究につながるのかと思っていた学生も多いと思います。3年次の2カ月間と限られた実習期間の中で、信頼性の高い成果が残せました。月経前症状の治療や緩和ケアの研究つながることに期待したい」と金桶教授は話しています。
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