最近の住宅をめぐる動きを解説④~新築編~ 住宅業界に変革期が到来? 長期優良住宅とZEH
- 2018/9/27
- ハウジング
安心して長く住み続けられる家が標準に
これまでは中古住宅の市場と展望について、和歌山県宅地建物取引業協会広報啓発委員長の藪雅仁さんに解説してもらいましたが、今回はこれからの新築市場について。
「1981年6月に建築基準法が大きく改正され、建物の耐震性における転換期を迎えました。以降、全国各地で震災が相次ぎ、人々の耐震に対する関心も高まっています。一方、近年の家づくりにおいて、重要なキーワードとなっているのが、『長期優良住宅』と『ZEH(ゼッチ)』です」と藪さんは話します。
「長期優良住宅」は、2009年施行の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の認定基準を満たした住宅のことで、簡単にいうと長期間、快適に使用できる家のこと。耐久性、耐震性、省エネ性、 維持管理・更新の容易性などに優れ、数世代にわたって住み継がれることを目指します。
「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、住まいの断熱性、省エネ性能を上げ、太陽光発電などでエネルギーをつくることにより、年間の一次消費エネルギー量(空調、給湯、照明、換気)の収支を“プラスマイナスゼロ”にする住宅を指します。
「長期優良住宅より、エコロジーという点でワンランクアップしたのがZEH。長期優良住宅もZEHも確かに初期費用はかさみます。しかし、補助金の交付や税制面で優遇されたり、その後のランニングコストの削減にもなり、結果的には、性能面でも安全面でも経済面でも、長く安心して住み続けられます」と。
スクラップ&ビルドからの脱却、地球温暖化、原子力発電所の問題など、さまざまな要因から、政府はZEHを推進。2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建て住宅の半数以上をZEHに、30年までに建売住宅や集合住宅を含む新築住宅の平均でZEHを実現することを目指しています。藪さんは、「住宅業界において、20年、30年は81年と同等かそれ以上の変革期となりうるかもしれません」と推測。省エネでエコな住宅は今、私たちの健康面からも着目されています。
※次回は10月27日号掲載
経済産業省「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について」 | http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/zeh/ |
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