暮らしを豊かに、ヘルシーに 初夏の楽しみ梅しごと
- 2018/5/31
- フロント特集
5〜6月は、梅が旬を迎える季節。梅の産地である和歌山では、南高梅をはじめとした立派な梅が豊富に出回ります。梅酒などを作る「梅しごと」をしたことがない人も、梅の魅力をあらためて知って、ぜひチャレンジしてください!
梅の産地・和歌山県民だからこそ
その魅力にもっと親しもう
初夏、梅の実がなる季節がやって来ました。梅といえば、和歌山。私たちにとっては、とても親しみ深い果実ですよね。スーパーなどでも、おいしい梅干しが種類豊富に並んでいるので、毎日食べているという人もいるかもしれません。昔から健康食品として重宝されていますが、もう少し、梅の成分について詳しくなってみませんか。
近年、梅に含まれる成分に「ダイエット効果がある」として、美容の観点からも梅に注目が集まっています。2面では、和歌山県立医科大学機能性医薬食品探索講座・准教授・医学博士の宇都宮洋才さんに、梅にたっぷりと含まれた健康的な成分について聞きました。
また、梅が身近にある和歌山県民でも、昔のように梅酒や梅干しを作る「梅しごと」を行う人は、少なくなってきているのでは。5~6月は、青梅の出回る時期。野菜ソムリエであり、発酵食のスペシャリスト“醸(かも)しにすと”の阪口理紗さんに、青梅を使った梅しごとの方法を教えてもらいました。
梅しごとを通して季節を感じながら、丁寧で豊かな暮らしを目指しましょう。かわいいガラスの保存瓶に梅酒などを仕込んで、日々の熟成具合を眺めるのも楽しいですよ。
梅の力を知って、梅しごとに挑戦
うれしい栄養がたっぷり含まれた梅
おいしく取り入れて健康に
和歌山県立医科大学准教授で、“梅博士”と呼ばれる宇都宮洋才さんに、梅の持つ健康効果について聞きました。
梅(梅干し)が健康に良いということは、なんとなく皆さん知っていますよね。宇都宮さんは、古くから言い伝えられている「食べ物の腐敗を防ぐ」「二日酔いに効く」といった梅の効果を、医学的に研究し、実証しています。
「大阪河﨑リハビリテーション大学の中村美砂教授らとの共同研究で、バニリンという成分が、脂肪を燃やす働きを持つということが分かりました」と宇都宮さん。梅に含まれるバニリンは、加熱することで増加。梅干しを焼くことはもちろん、料理に加えて加熱調理したり、電子レンジで加熱しても同様に増加するので、手軽にチャレンジを。その他にも、梅にはさまざまなパワーが秘められています。
「食べるタイミングについては、朝、昼、晩と3食ずつ食べるのがおすすめですが、食べたいときに食べるのが一番です」。今は、多種多様な梅干しが販売されています。お気に入りを見つけてみてください。
梅に含まれるクエン酸などの有機酸が、大腸のぜんどう運動を活発に。排便をスムーズにしてくれます。また、大腸のぜんどう運動は朝が一番活発で、食事を取ることによって促されます。梅干しを食べることで唾液が出て食欲がわくので、朝食を食べる習慣がない人は、朝に梅干しを食べることがおすすめです。
しみやしわ、たるみなど、肌荒れの原因の一つは、活性酸素だといわれています。紫外線やストレスなどにより活性酸素が増加。青梅の実の赤みがかった部分は、梅が自ら出す“日焼け止め”。梅リグナンという抗酸化物質が、酸化反応を抑制します。
虫歯の原因となるのが、ミュータンス菌。強力な制菌作用のあるクエン酸が、ミュータンス菌の活動を抑えて、虫歯を予防します。また、梅干しを見たり、食べたりすることで出るサラサラの唾液が、口の中の食べかすや細菌を洗い流すので、虫歯ができにくくなります。
夏でも体の冷えに悩まされている女性は多いのでは。血液がドロドロで、血行が悪いと手足の末端まで血流が行き届かず、冷えが起こる原因になります。梅に含まれるクエン酸には、血液をサラサラにする作用が。血流を促して新陳代謝をアップさせます。
ダイエットを目指す人に注目されているバニリンは、梅の香り成分です(バニラの香りの主成分と同じ)。バニリンは、脂肪を燃焼させて、脂肪細胞を小さくするという作用を持ちます。また、梅干しを加熱することで、バニリンが1.3倍に増加することも分かっています。
野菜ソムリエで、発酵食のスペシャリスト“醸(かも)しにすと”でもある阪口さん。教えてもらったのは、梅と日本の発酵食品であるみそとしょうゆを使った調味料のレシピ。夏にぴったりの、さわやかで栄養たっぷりのアレンジです。梅酒は、変わり種を少量ずつ仕込みました。
青梅の下処理
青梅はきれいに水洗いした後、キッチンペーパーなどでしっかりと水分をふき取ります。ヘタは、実がやわらかくなると取れてしまうので、すべて取り除きましょう。下処理ができたら、さっそくトライ!
梅の香りが豊かでさわやかな酸味がおいしい梅しょうゆ。そうめんつゆとして使ったり、冷奴や豚しゃぶ、サラダのドレッシングにも。
- [材 料](1リットル容器1瓶分)
- ●青梅…500g
- ●しょうゆ…適量
- ●昆布…10㎝角1枚
- ●かつお節…25g(1パック)
① | 熱湯かアルコールで消毒した保存瓶の底に、昆布を敷きます |
---|---|
② | その上から梅を入れます |
③ | お茶用のパックに入れたかつお節を、一番上にのせます。お茶用のパックがなければ、キッチンペーパーに包んで |
④ | 梅がヒタヒタにつかるまでしょうゆを注ぎます |
⑤ | 味がなじむまで、冷暗所または冷蔵庫で保存します |
必ず、アルコール度数20度以上の酒を使用。氷砂糖が溶けきるまで、ときどき瓶をやさしくゆすってください。飲み頃は、漬けてから半年~1年後。ベースとなる酒の種類によって、味や香りが異なります。今回は、基本のホワイトリカーとは違った、3種の酒で漬けてみました。
- [材 料](1リットル容器1瓶分)
- ●青梅…300g
- ●酒…約600ml(基本はホワイトリカー)
- ●氷砂糖…300g
① | 熱湯、またはアルコールで消毒した保存瓶に、梅を入れます |
---|---|
② | 梅の上から氷砂糖を入れます |
③ | 酒を注ぎます |
④ | 冷暗所に保存して熟成させます |
できあがった梅みそは、すぐに食べられます。甘酸っぱくサッパリ、子どもにも好かれる味。ごはんやそうめんにのせて。汗をかく夏の塩分補給にもぴったりです。
- [材 料](チャック付き保存袋1つ分)
- ●青梅…600g
- ●みそ…500g
- ●砂糖…400g
① | 火にかける前に、鍋にみそと砂糖を入れてヘラで混ぜます |
---|---|
② | ある程度混ざったら梅を加え、砂糖が溶けるまで中火で加熱。焦げないように気を付けながら、梅にみそ、砂糖を絡めていきます |
③ | 砂糖が溶けてドロッとしてきたら弱火に。このときも、混ぜながら焦げないように注意を |
④ | 梅の実がやわらかくなってきたら、ヘラでつぶして種を除きます。すべて取り除けば完成 |
この梅酒は、今後の熟成具合や味の変化を、リビング和歌山のFacebookやInstagramでお知らせしていきます。 ぜひチェックしてみてください! |
|
https://www.facebook.com/livingwakayama/ | |
LIVING和歌山(@living_Wakayama) |