今回は2017年5月から始まった「法定相続情報証明制度」について紹介します。相続が発生すると、亡くなった人(被相続人)名義の預貯金の払い戻しや相続税の申告などを行うことがあると思います。基本これらには、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸除籍謄本や法定相続人の戸籍謄本などの書類(戸籍の束)が必要です。
この制度ができるまでは、①戸籍の束を提出先1カ所ごとに提出・返却を繰り返す ②戸籍の束を複数用意して、それぞれを各提出先に提出する、このどちらかでした。しかし、①は提出先から戸籍の束の返却を受けてからでないと次の手続きができないため、時間と労力が必要となり、②は戸除籍謄本などを複数セット用意するための費用がかかります。
法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸籍の束と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付けた写しを何通でも無料で交付するというものです。その後の手続きは、戸籍の束の代わりに一覧図の写しを提出すればいいので、戸籍の束を何度も出し直すことや複数セット用意する必要がなくなります。
法定相続情報一覧図は、預貯金の払い戻しや相続税の申告だけでなく、年金手続き(遺族年金の請求など)、株式の名義変更、相続登記などにも使えるので、とても便利です。また、5年間は無料で再発行できます。有効活用のポイントは、相続が開始したら、なるべく早い段階で法定相続情報証明制度を利用して、法定相続情報一覧図を取得することです。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。この制度を利用すれば、相続登記の手続きもスムーズに行えると思います。制度に関する詳細は、法務局ホームページで確認、または和歌山地方法務局登記部門へ問い合せを。
和歌山地方法務局登記部門・野上和也

登記部門 統括登記官 野上和也さん
法務局ホームページ | 「法務局・法定相続情報証明制度」で検索を https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html |
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お問い合わせ | 073(422)5131 |
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