日頃からどんなに仲の良い兄弟姉妹・親族であっても、遺産分割などの相続手続きでトラブルになり、裁判に発展するケースが珍しくありません。トラブルを避けるための手段として、自分の死後の財産の分配など、生前にさまざまな意思を残す「遺言書」があります。遺言書は必ず要るものではないので、“自分には関係ない”と思うかもしれません。しかし、遺言書は法的に有効となるものです。自分の死後、財産をスムーズに引き継ぐためにも作成することをおすすめします。
遺言書がない場合は、民法に定められた法定相続が適用されます。民法では相続分を定めているだけなので、具体的に遺産を分けるには法定相続人全員での遺産分割協議が必要になります。また、家庭の状況によっては法定相続分で分けることが実情に即しているとは限りませんので、相続人の間で不平等な感情が生まれ、トラブルになるケースがあります。
遺言書があれば、法定相続分によらず、相続人の相続分や遺産分割の方法も定めることができます。例えば、子どもの配偶者や孫など、法定相続人以外の人に財産を渡したいときは、遺言書を残すことで、遺産分割協議をせずに自分の意思に沿った相続手続きができ、トラブルを回避できます(左記参照)。ただし、兄弟姉妹を除く法定相続人には、法律で保障される遺留分を請求する権利があります。法務局では、自身で書いた自筆証遺言書を預かる制度「自筆証書遺言書保管制度」があります。詳しくは、和歌山地方法務局供託課073(422)5131に相談を。
和歌山地方法務局供託課遺言書保管官・松田卓
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