戸籍は人の親族的な身分関係を登録・公証する登録簿で、本籍地のある市町村で管理されています。そのため、相続手続など戸籍証明書が必要なときには、本籍地の市町村役場に請求することになります。
しかし、本籍は住民登録とは異なり、住所地に定める必要がないことから、人によっては住んでいる市町村に定めていない場合や、婚姻や転籍などで戸籍の本籍地が複数の市町村にわたっている場合があります。その場合、必要な戸籍を遠方または複数の市町村に請求しなければならず、取得するまでに時間と労力を要していました。
これらの負担を解消しようと、戸籍法の一部を改正する法律が今年3月1日から施行され、本籍地以外の戸籍であっても最寄りの市町村でまとめて請求できる「戸籍の広域交付制度」が導入されました。これにより、“本籍地が今住んでいるところから遠い”“過去の本籍地が全国各地に複数ある”という人にとって、戸籍証明書の取得がとても便利になりました。
広域交付制度を利用するには、請求者本人が市町村の窓口に直接出向く必要があります。また、請求可能な戸籍証明書は、本人のほか、配偶者、父母、祖父母、子、孫など、直系の親族の戸籍に限られます。現在、戸籍などの多くはデータ化し、コンピュータで管理されていますが、一部データ化されていないものについては制度を利用できませんので留意ください。
請求の際には、本人確認のため、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証明書が必要となります。手続をスムーズに進めるためにも、事前に市町村のホームページや戸籍窓口で確認することをおすすめします。
今後、マイナンバー制度や戸籍電子証明書の活用が進むことで、行政機関のさまざまな手続きで戸籍証明書の添付が省略できるなど、より便利になる予定です。
本記事の内容に関しては、和歌山地方法務局戸籍課073(422)5131に問い合わせてください。
(和歌山地方法務局戸籍課・岸宏)
お問い合わせ | 073(422)5131 |
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