テレビドラマなどで、「わしの遺言を今から伝える。聞いてくれ」など、家族が集まった場で話すシーンを見たことがあるかもしれません。その通り、残された家族が財産を分けると、広い意味では遺言となります。
しかし、自分に不利な内容である場合はどうでしょう。その人は遺言の内容の実現に協力しないことが考えられ、遺言通りの遺産分割ができなくなる可能性があります。“言った”“言わない”の話にもなるので、法律では、一般的に遺言は書面で作成することが決められています。
遺言書は大きく分けて、法律の専門家である公証人と一緒に作成する「公正証書遺言」と、自分で作成する「自筆証書遺言」があります。
公正証書は、法律的に間違いのない遺言書を作成できますが、手数料などの費用がかかります。一方、自筆証書遺言は、自分で書いて任意の場所に保管するので、手軽に作成できる反面、紛失・未発見・改ざんや法律的に無効になる可能性など、さまざまなリスクが伴います。また、遺言者の死亡後、家庭裁判所で検認の手続きが必要になるため、スムーズに相続手続を開始できません。
法務局には、遺言書を預かる「自筆証書遺言書保管制度」があります。リスクの軽減、家庭裁判所の検認の省略に加え、遺言者の死亡後に法務局で遺言書を保管していることを、前もって指定した人に知らせることもできます。保管費用は3900円。ただし、遺言の内容は相談できないので、司法書士か弁護士に相談する必要があります。 遺言書があれば、相続トラブルの原因となる遺産分割の話し合いをする必要がなくなるので、トラブルを回避するために遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょう。
法務局は、昨年から遺言に関する無料の出張説明会を始めています。申し込み者が会場を準備する必要はありますが、10人程度集まれば伺います。制度に関する質問や出張説明会の依頼は、和歌山地方法務局供託課073(422)5131に連絡をください。
(元 和歌山地方法務局供託課・松田卓)
お問い合わせ | 073(422)5131 |
---|
関連キーワード