故意・過失は借り主、経年劣化は貸し主
今の時期は、進学・就職・転勤など、春からの新生活に向け賃貸物件の入退去がピーク。部屋を貸す方も借りる方もトラブルは避けたいもの。賃貸物件を借りる、暮らす際の注意点を和歌山県宅地建物取引業協会に聞きました。
「賃貸でトラブルが多いのは、退去時の原状回復についてですね。宅建協会に寄せられる相談の中でも、相談件数が多い事案」と話すのは、広報啓発委員長の岩端芳則さん。こうしたトラブルにならないためには、「入居時が肝心」と喚起します。
まずは、入居時に交わす賃貸契約書・重要事項説明書の内容を確認すること。「仲介業者から、物件についての情報や契約条件などが説明されます。聞き流すのではなく、理解できないこと、疑問に思うことは確認しましょう。そして、荷物を運び入れる前に、賃貸物件のオーナー、または管理会社の立ち会いのもと原状を確認しておくことが望ましい」と。繁忙期に立ち会いは難しいかもしれませんが、壁や床の傷、汚れなど双方で確認して写真で残しておくと、後々のトラブルが避けられます。しかし、長く暮らしていると壁が汚れ、床が傷つくことも。「物をぶつけて窓ガラスを割ってしまったり、子どもが壁に落書きをしたり、故意・過失による破損は自己負担で修理が必要です。一方、電気焼け(テレビ・冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ)や家具の設置跡、へこみなどの経年劣化は入居者が修繕する必要はありません」と岩端さんは言います。
なお、給湯器や備え付けのエアコンなど、普通に使っていて故障した場合は、貸し主が修理してくれるので、速やかに管理会社に連絡を。「お風呂に入れない、トイレが使えないなど日常生活に支障をきたす不具合については、2020年の民法改正で“賃料減額”が規定されました」とのこと。その他、原状回復については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しているので参考に。
賃貸物件は自宅であってもマイホームではありません。借りて住んでいるということを念頭に置き、常識的な範囲で掃除・手入れをして暮らしましょう。
不動産に関する相談は宅建協会まで
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