診断・治療の技術、症例は全国レベル緩和ケア、心のケアも機能拡大

平岡眞寛院長。2007年に京都大学医学部附属病院でがんセンターを立ち上げました
日本人の2人に1人ががんにかかるといわれている時代。全国どこでも質の高いがん治療が受けられるよう、厚生労働省が「がん診療連携拠点病院」を指定。今年4月にその見直しが行われ、それぞれの病院機能によって「高度型」「一般型」「特例型」に分類され、日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市小松原通)が、「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」に指定されました。
現在、「がん診療連携拠点病院」は392施設ありますが、「高度型」に選ばれたのは、全国で14施設で、もちろん和歌山県下では唯一。「当センターは、がん治療の3本柱である外科手術、放射線治療、薬物療法すべていおいて、技術、症例数ともに全国レベル。地方都市の和歌山でも最適で最新のがん治療が受けられます」。同医療センターの平岡眞寛院長はこう言い切ります。
平岡院長は、京都大学で長年、高度医療に携わってきたがん放射線治療の第一人者。2016年に同医療センターの院長に就任後、がん医療に重点を置き、診断や治療に加え、緩和ケア、患者や家族の相談・支援にも熱心に取り組んでいます。

最新型の放射線治療機器を導入。県内で有数のがん治療件数を誇ります
「外科手術は、内視鏡を使う鏡視下手術が中心。ロボット支援手術も前立腺がんからスタートして、腎臓、胃、食道、大腸、肺にも適応できるようになりました。放射線治療は、高精度の定位放射線治療(SBRT)、強度変調放射線治療(IMRT)をいち早く導入。薬物療法においても、ゲノム医療が急速に進みつつあり、がんの原因となる遺伝子を特定することで、より効果があり、副作用の少ない治療薬の選択が可能になりました」と説明。また、昨年秋には、緩和ケア内科部、緩和ケア病棟を開設。がん相談支援センターも治療や療養の相談に加え、仕事や経済的なことなど生活の相談に至るまで、その機能の拡充を図っています。「将来的には、すべてを統括した『がんセンター』として機能させたい」と。
「これまでがん医療は、専門病院が中心でしたが、高齢化が進む中、他の病気を患っているがん患者さんも少なくありません。一方、思春期・若年成人(AYA)世代にがんを発症すると、妊孕性(にんようせい)の不安もあります。これから求められるのは、個々人に合った総合的な診断・治療を行う『全人的医療』。地域の総合病院として、その役割を果たしていきたい」と平岡院長は力強く話していました。
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