私たちは日々、ストレスに適応しながら、社会生活を送っています。職場や学校、家庭で感じるストレス、うまく解消できていますか? 今回は、最近、よく耳にする、ストレスが原因となって引き起こる「適応障害」について取り上げます。
普段からのコミュニケーションが予防にも
厚生労働省の健康情報サイトによると、「適応障害とは、日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう」とされています。とはいえ、誰しも大なり小なりストレスに押しつぶされそうになった経験はあるはず。何を基準に診断されるのでしょうか。
「一般的に、精神疾患は原因ではなく、症状で定義されます。しかし、適応障害はストレスの原因とその人の症状との関連性で定義されます」と話すのは、和歌山県精神神経科診療所協会会長の大家尚文さん(メンタルクリニックおおや院長・写真)。ストレスは、職場や学校、家庭の人間関係、被災経験や傷病といった環境の変化などがきっかけとなり現れます。ストレスの質や感じ方の程度は人によって異なりますが、敏感すぎる人や、周囲に相談できずに一人で抱え込む人は、適応障害が生じやすいと考えられています。
症状には、不眠、食欲不振、不安や気分の落ち込み、自律神経を介した体調不良などがあります。対処法や治療は、基本的には、原因となっているストレスを明確にし、軽減することです。一時的に薬の服用が必要な場合もあります。
大家さんは「適応しやすいよう環境を調整し、場合によっては休養や服薬も必要。また、気持ちを整理し、今後の対処行動を考えることも大切です。ストレスから解放されると、症状も軽減されますし、適応障害自体は長期間続くことはありません。ただし、ストレスからの解放が難しいケースがありますね」と説明します。
予防するには、「悩みなど、ストレスに感じていることを気軽に話せる相談相手を持つこと。そして、職場や学校、家庭など、普段からしっかりとコミュニケーションを取っておくことが大事です」とアドバイスします。
ストレスをため込まないよう、休息や気分転換も心掛けるようにしましょうね
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