多くの人が悩んでいるといわれる「片頭痛」の予防薬が、今年相次いで登場しました。その新薬とは? 和歌山県立医科大学附属病院脳神経内科の髙橋麻衣子助教に話を聞きました。
治療に加え、規則正しい生活なども大切
働き世代の30代に多いとされている「片頭痛」。日本人男性の約3%、女性の約10%にみられ、仕事や家事が手につかなくなることで悩んでいる人は少なくありません。
県立医科大学附属病院脳神経内科・髙橋麻衣子助教(写真)は、「片頭痛は三叉(さんさ)神経の過剰興奮や血管拡張によって痛みが生じます。光や音、匂いなどに過敏となり、ズッキンズッキンという痛みが4~72時間続くのが特徴で、症状が重くなると、吐き気やおう吐を伴うこともあります」と説明。頭痛が軽度なら市販の鎮痛薬で治まることもありますが、中度以上は血管収縮作用のある治療薬「トリプタン製剤」を早めに服用し、暗く静かな場所で休むようにしましょう。
近年、片頭痛は三叉神経から出る「CGRP」という物質が関与していることが明らかに。頭痛発作そのものを抑える治療薬に加え、今春から、発作の頻度や程度を抑える予防薬が相次いで登場しています。
新薬は飲み薬ではなく、基本月1回の皮下注射が必要。価格も保険適用で1万円以上と従来に比べて高額で、頭痛を専門とする医師しか処方できないという条件もあります。患者の中には注射後1カ月目から効果が見られるとした上で、髙橋助教は「効果が弱い人もいるので、まずは3カ月継続し、様子を見ることをおすすめします」と話します。
頭痛は医療機関を受診せずに市販薬で済ませることも多々。鎮痛剤を月10日以上、3カ月間服用していると、薬剤の使用過多による頭痛が起こるので注意が必要です。髙橋助教は「ストレスや夜更かしなど、誘因が分かっているなら、避けるようにしましょう。睡眠をしっかり取るなど、規則正しい生活が大切です。痛みは我慢せず、専門医に相談を。症状など、伝えることを事前にメモしておくと役立つと思います」とアドバイスしています。
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