日本赤十字社和歌山医療センターが昨冬、赤ちゃんの先天性の病気を調べる検査「新生児オプショナルスクリーニング」を県内で初めて導入しました。検査や現状について、小児科部・原茂登副部長に話を聞きました。
病気の早期発見・治療が期待される
小児の病気には、生後すぐには発見できないけれど、成長するにつれて明らかになるものもあります。早期発見・治療のために、国内では公的事業として、1977年から、生まれたばがりの全ての赤ちゃんを対象に、先天性の病気がないかどうかを調べる検査「新生児マススクリーニング」が行われています。
現在の公的検査は20疾患以上を対象に行われていますが、医学の進歩で近年、新しい検査法が開発されるとともに、検査できる疾患の種類が拡大。公的な検査に加え、任意で受けられる有料の検査「新生児オプショナルスクリーニング」を取り入れる医療機関も増えてきました。
和歌山県内では、日本赤十字社和歌山医療センターが、昨年11月から県内で初めて、新生児オプショナルスクリーニング検査を導入。従来の小児科医・小児科外科医による診察、聴力検査と合わせて、推奨されている検査を行う体制を整えました。同センター・小児科部の原茂登副部長(写真)は「病気
の特徴や有効な治療法などが研究・解明され、検査できる疾患が増えています。病気の症状が現れる前に早く発見し、適切な治療を始めることで発症の抑制などが期待できるものもあります」と利点を説明します。
オプショナルスクリーニング検査は、公的事業でも保険対象でもないため、費用は実費ですが、同センターで出産するほとんどの妊婦が選択しているとも。その上で、原副部長は、出産年齢の高齢化や分娩(ぶんべん)できる医療機関の減少など社会的変化について触れ、「地域周産期母子医療センターとして、院内はもちろん、地域医療機関などと連携を強化し、出産・育児をサポートしていきたいです」と話しています。
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