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新型コロナで変化が加速していく、葬式や遺体との関わり方
- 2020/9/17
- 結婚&葬祭のいまどき
- 葬儀, 過去の人気連載コーナー
誰しもに訪れる、最期のとき。どんな風に見送りたいか、どんな風に見送られたいか。後悔しないよう、考えたいですよね。近年の社会情勢や家族の形の変化により、増加している「家族葬」を中心に、“お別れの仕方”について考えます。
焦って決めるのは禁物
事前に納得のいく決定を
15年ほど前から、メディアなどで取り上げられるようになった「家族葬」。ここ10年のうちに葬儀全体の5割程度まで伸びています。「さらに新型コロナウイルスの影響により、家族葬という選択が一気に広まっているという印象です」と、和歌山シニアサポート協会・代表理事の辻本和也さん。
費用が抑えられ、近親者だけでゆっくりとお別れをすることができる家族葬。対して、故人の職場の関係者や友人らが集まる一般的な葬儀は、家族以外の他者から見た故人の姿を知る良い機会でもあります。どのような送り方が本人や家族に合っているか、事前に家族でしっかりと話し合うことが大切。亡くなってから喪主が焦って決めてしまうというのは、避けたいものです。疑問や不安がある場合は、葬儀会社に問い合わせてみたり、相談してみたりすると良いでしょう。
家族葬に関してよくある疑問や悩みをいくつかピックアップ。辻本さんに答えてもらいました。
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故人のために必要なこと、できること
遺体ケアとは
現在、日本では遺体の衛生面に関する法制度がなく、医療や福祉の現場では、死後の処置をしたりしなかったり、処置内容にもばらつきがあります。また、「病院がしてくれている」「葬儀社がしてくれるだろう」と、遺族の認識もあいまい。このような状況を改善するために生まれたのが、「遺体ケア」です。医療に準じ、科学的根拠に基づいた遺体専門の技術を持つ美粧衛生師が、故人の死後に起きるさまざまな変化に対応しながら、遺族が安全に寄り添えるよう、感染予防対策や腐敗の抑制など衛生面から支え、故人の眠っているように美しい姿をケアにより守ります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、遺体から感染があることや安全面から、故人と最期の面会がかなわなかった遺族も少なくありません。ウイルスなどの病原体は、宿主となる人が亡くなると死滅するというイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、「宿主が死亡した場合、病原体は〇時間後に死滅する」といった医学的なデータはありません。さらに細菌は、宿主が死亡しても遺体を栄養源にして増殖します。また、生前に発症しなかっただけで、実は病原体となるウイルスや細菌を持っていたというケースも。そのため、生前持っていた病気や、損傷の有無、葬儀までの時間に関わらず、遺族はもちろん葬儀社らが遺体と接するときの安全性を保つため、どの遺体にもケアが必要なのです。
このような事実からも、今後の葬儀には安全と安心、清潔さと美しさが求められていくでしょう。遺族は、故人の死化粧を施された美しさよりも、眠っているような安らかな表情に安心するという印象を受けます。故人の「死に顔」が生前とは異なり、心を痛める遺族もいます。そこに死後の変化が加わっていくので、継続的に専門的なケアをすることが重要です。そのような点を踏まえると、“儀式”を主体として提供する納棺師や湯灌(ゆかん)師では、感染への対策を含めて対応することが難しいのが現状です。看護や介護に続いて、遺体の専門技術者による新たなケアを導入し、遺族が安心して故人に寄り添え、より良いお別れをする儀式につなげるのが、これからの葬儀の新しい姿ではないでしょうか。
\教えてくれたのは/
和歌山遺体管理ケアセンター
平野 泰寛さん
遺体美粧衛生師で、遺体感染管理士の資格を持つ、“遺体ケア”の専門技術者
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