折り紙に込める
わかやま愛

リビング和歌山7月15日号「 折り紙に込める わかやま愛」

 和歌山にちなんだ人物や県産品を、折り紙でほっこりと愛らしく表現—。湯浅町在住の折り紙作家・オリガミホさんは、県外出身ならではの視点を大切に、和歌山の魅力を折り紙に込め、県内外に、そして世界に発信していきます。

折り紙作家 オリガミホさん
1979年兵庫県生まれ。2020年に湯浅町に移住し、和歌山にゆかりのある折り紙作品を手掛ける。グラフィックデザイナーやイラストレーターの肩書も持つ

オリガミホさんと次男の公章くん。

オリガミホさんと次男の公章くん。複数の紙を組み合わせたり、立体的に折ったりと、作品に折り手の個性が反映されるのも折り紙の魅力の一つ

情緒あふれる伝建地区で
伝統文化の良さを再発見

 2020年3月に、夫の郷里である湯浅町に家族で移り住んだ折り紙作家のオリガミホさん。翌月に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発表され、「家で過ごす時間が増える中、小学校に入学する前の次男が折り紙に興味を持ちました」と話します。「私自身、印刷会社に勤務した経験から、もともと紙に愛着があり、親子で折り紙遊びを楽しむようになりました。それが折り紙作家として活動するきっかけです」

オリガミホさんの自宅は、国選定の湯浅町湯浅伝統的建造物群保存地区(伝建地区)にあります。近代的なビルや文化施設が建つ兵庫県宝塚市から、格子戸や土蔵など歴史的風致が維持された同地区へ居を構えて、日本の伝統文化である折り紙に楽しんだ日々。「映画やドラマのセットの中で暮らしているような、生活が丸ごと昔の時代にタイムスリップしたような、そんな非日常的な感覚がありました」と、ほほ笑みながら当時を振り返ります。

湯浅からSNSを通して
ORIGAMIを世界へ

その後も独学でスキルを磨き、愛らしい顔立ちの折り紙人形をオリジナル作品として生み出します。22年にカルチャー教室の講師として、プロの作家活動をスタート。また同時期に、SNSで作品を公開すると、国内外を問わず、折り方についての問い合わせが届くようになりました。

180年以上前に創業された、町内の老舗しょうゆ店をイメージした「しょうゆ職人」

180年以上前に創業された、町内の老舗しょうゆ店をイメージした「しょうゆ職人」

「夫の仕事で海外出張に同行することもあり、海外の方に作品をプレゼントすると、とても喜ばれます」と、オリガミホさん。「折り紙は『ORIGAMI』として、国外でも広く知られていることを実感。世界中の人々に折り紙の魅力をもっと伝えられたらと、SNSでは英語の説明文も添えています」とも。

自身が発信するSNSの一つ、言語交換アプリ「ハロートーク」では、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの欧米から、インド、マレーシア、シンガポール、中国などのアジア諸国まで、国籍や人種を問わず、多様な閲覧者が折り紙人形に興味津々。作品の感想を述べたり、自分の作品をアップしたりして、折り紙を通したコミュニケーションが取られています。「民族衣装など各国の文化を反映させた折り紙人形にも挑戦して、もっと喜んでもらいたいですね」

そして、折り紙で地域のPRに貢献する取り組みを、国内でも展開していきたいと、オリガミホさんは夢を語ります。その夢を見つけた湯浅で、初の個展「和歌山おりがみ人形展」が、7月16日(日)から開催されます。

折り紙で地元を知る、学ぶ

偉人が折り紙キャラに!
湯浅で初の個展を開催

 「雄大な自然の中で他にはない独自の地域文化が育まれている」。県外出身ならではの視点で、オリガミホさんは和歌山の魅力を語ります。コロナが落ち着いてからは、高野山や熊野古道などの観光名所に足を延ばし、その魅力を体感したそう。

折り紙人形の和歌山バージョンを思い付いたのは、「長男の小学校で地元を学ぶ授業があったことがきっかけです。子どもたちが好きな折り紙を教材として使えば、興味を持ってくれるかな、と」

ウメ

オリガミホさんの作品ウメ58年連続で全国1位の収穫量。みなべ町で誕生した「南高梅」は日本を代表する品種です(2022年農林水産省近畿農政局調べ

ミカン

オリガミホさんの作品ミカン和歌山を代表する農産物の一つ。2022年度の和歌山県産温州ミカンの収穫量は15万2500トンと全国1位(農林水産省調べ)

紀伊国屋文左衛門

オリガミホさんの作品紀伊国屋文左衛門湯浅町生まれとされる伝説の豪商。江戸時代に船でミカンを江戸へ売りに行き、富を得ました

濱口梧陵

オリガミホさんの作品濱口梧陵湯浅町に隣接する広川町で津波から村民を救い、「稲むらの火」のモデルとなった実業家

和歌山城

紀州徳川家の居城。県内の観光名所の一つで、和歌山市のシンボルとしても知られています紀州徳川家の居城。県内の観光名所の一つで、和歌山市のシンボルとしても知られています

 「和歌山おりがみ人形展」では、和歌山の文化や歴史、名物をテーマに、最大50点の作品を展示。作品には子どもにも分かりやすいように、短い文章で解説が添えられています。徳川吉宗や真田幸村も愛らしい折り紙キャラクターになって登場。「今までもYouTube(ユーチューブ)を通して作品の折り方を紹介してきましたが、和歌山おりがみ人形についても今後配信していく予定です」と、オリガミホさんは話していました。

和歌山おりがみ人形展

日時 7月16日(日)~8月27日(日)
午前9時~午後5時
場所 北町ふれあいギャラリー
(湯浅町湯浅47-6伝建地区内)
定休日 水曜
入場料 無料
問い合わせ 090(1913)9865
オリガミホさん
参加者募集

小学生対象! リビング和歌山の夏休み特別講座
オリガミホさんの折り紙教室

 折り紙作家・オリガミホさんによる夏休み特別講座。平安時代から鎌倉時代に、熊野古道を歩いた公家や武家の女性が身に着けた「壺(つぼ)装束」の折り紙人形を作ります。衣装の解説も行われます。

 

日時 8月5日(土)
①午前の部 午前10時~11時半
②午後の部 午後1時半~3時
場所 リビングカルチャー倶楽部(くらぶ)
フォルテ教室(和歌山市本町、フォルテワジマ4階)
参加費 1人1000円(材料費含む)
参加対象 小学生(1~3年生は、できれば保護者同伴で)
定員 各12人
申し込み方法 メールで件名に「折り紙教室」と入力、本文に①または②の参加を希望する時間帯、参加者(小学生)の氏名、学年、保護者氏名と連絡先の電話番号を明記し、下記アドレスまで
living@waila.or.jp
締め切り 7月24日(月)
※応募者多数の場合は抽選。当選者には、
参加の案内をメールで送ります
問い合わせ 073(428)0281
和歌山リビング新聞社 (祝日除く月~金曜午前9時半~12時、午後1時~6時半)
オリガミホさんのYouTubeは
こちらからチェック!
https://www.youtube.com/channel/UCYOelAH-yHC9GckFZHDEmYQ

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