形成外科診療ナビvol.4
“顔”の外科

けが・手術・傷の痕、不便やコンプレックスも
悩みを解消し、幸せに生きるお手伝いを

今回は予定を変更して、反響が大きかった第2号「形成外科と顔」について掘り下げながら(和歌山県立医科大学形成外科学講座ホームページhttps://wakayamaprs.jp/のお知らせ欄参照)、形成外科の診療について説明します。

人の身体は合理的な形をしており、正しい形状、位置、動きが良好な形態、機能をもたらします。われわれ形成外科医は、頭から指先までを治療対象とし、中でも“顔”の診療を得意としております。顔は生きていくのに重要な感覚器が集まっているだけではなく、社会生活を営む上で、非常に重要な役割を果たします。

生まれつきの病気やけが、できものなどで顔の一部が変形・欠損したりすると、その形態と機能を損ない、社会生活にも悪影響を及ぼすものです。「けがをしたんだから…」「手術をしたんだから…」「もって生まれたものだから…」“仕方ないんだ”と諦めていませんか。

形成外科医は、例えば、「きれいに縫う」ことに卓越しております。けがの痕、手術の痕など、目立つ傷が残っている場合は、その場所や傷痕の形に応じて修正術を行います。顔に傷痕があるだけで、顔を隠して暮らしたくなることもあるかと思います。傷痕の“つっぱり”のせいで動かしにくさを感じる人がいるかもしれません。皮膚のできものを取る場合も、できものを取るだけではなく、傷痕が目立たないように手術を行います。

また、顔面を骨折した場合、機能面に障害がなければ、これまで和歌山では経過観察となることが多かったようです。しかし、顔の形が崩れるということは、社会的な機能が障害されます。「頬がへこんでいる」「鼻が曲がっている」など、変形が残っている場合は、それが昔のけがであっても治療することができます。

顔の表情をつくる顔面神経が麻痺(まひ)してしまった人は、顔の左右のバランスが崩れ、見た目の問題が生じるだけではなく、まぶたが下がって見えにくくなったり、食事の際に食べ物がこぼれてしまったりします。そのようなときは、麻痺しているところの位置を整え、神経移植を行って顔の動きを戻す手術を行います。

そのほかにも、かみ合わせがずれてしまう「顎(がく)変形症」は、上顎と下顎のバランスが崩れていることで歯の位置が合わず、かみにくさを感じます。そのような場合は、提携している矯正歯科で歯並びを整える治療をした後に、上顎と下顎のバランスを調整する手術を行います。
形成外科医が少ない和歌山県においても全国水準の治療を行い、一人でも多くの患者さんの悩みを解消することで、「幸せに生きる」手助けができればと思っております。まずは、気軽にご相談を。

(和歌山県立医科大学附属病院形成外科
教授・朝村真一
准教授・和田仁孝
助教・橘五月
助教・上野一樹 )

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