小麦アレルギーの人でも食べられる
グルテンフリー食がじわりと人気
和歌山県内でも新商品や食事メニューが増加
欧米を中心に、広まっているグルテンフリー(小麦不使用)食品。
小麦アレルギーやセリアック病患者の食事で使われてきましたが、最近は健康志向も後押しし、注目されています。和歌山県内でも商品の開発や食事メニューに取り入れるなど、じわりじわりと認知度を上げています。
生カップお好み焼きの製造・販売で知られる「おはなはん」(本社=和歌山市加納)は先月、小麦アレルギーの子どもたちにもお好み焼きを味わってもらおうと、米国のグルテンフリー組織認証を取得し、グルテンフリー(小麦不使用)のお好み焼き粉を商品化(写真①)しました。
同社は今年1月、グルテンフリーとは表示されていないものの、玄米粉と米粉でできた生カップを商品化。ただ、生カップは賞味期限が4日しかないため“食べたいとき、いつでも作れるように”と、お好み焼き粉の開発に着手。7大アレルゲンを使わず、玄米粉と米粉を独自の配合で調整し、生カップと同じ味と食感を再現ました。
松本章子社長は次の時代を見据えながら、「半世紀以上、おいしいお好み焼きを食べてもらいたいという思いは変わっていません」と笑顔を見せています。
外国人観光客が多く訪れる高野山では、グルテンフリーの精進料理を出す宿坊も。恵光院(高野山町高野山)では今年に入り、宿泊客向けにグルテンフリーの精進料理を提供しています(写真②)。
同寺では1日平均40~50人が宿泊し、うち欧米・欧州からの個人客が約8割を占めています。グルテンフリーの食事は個別に対応していましたが、近年、依頼が増加。宿泊プランとして設定することに決めました。
天ぷらは小麦粉で溶いた衣の代わりに細切りのジャガイモやナッツ類をまぶしたり、ごま豆腐には梅肉やみそを添えたり、趣向を凝らした料理が並びます。宿泊客からも好評を得ており、同寺の近藤明日香さんは「素材の味と食感、季節感を大切にした精進料理を味わってもらえれば」と、新たな挑戦への思いを話していました。
“地元の米で作りたい”と、農家と連携し、特別に栽培された米粉を使っているのが、グルテンフリーの米粉パン、菓子、めんを手掛ける「結(むすび)」(橋本市山田)。開店して2年目となり、イベントへの出店やインターネット販売などでファンを増やしています。
パンは、地元のヨモギやジャバラを組み合わせるなどしてバリエーションを増加。米によって水分調節や温度管理が必要なので、作業中は一瞬も目が離せません。
代表の平野貴代さん(写真③)は「小麦アレルギーの子どもがパンとケーキを両手に、うれしそうに帰っていく姿が忘れられなくて」と目を細め、「学校給食のパンを食べられない子が、みんなとパンを頬張っているところを見るのが私の夢」と、手を休めることなく作業を続けていました。
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