自由な発想で予算にも柔軟に対応
家づくりのカギとなるのは、信頼できるパートナー探しから。今回は、「設計事務所」との家づくりについて、「アトリエ・グリッド一級建築士事務所」(和歌山市畑屋敷西ノ丁)の長谷真さんに話を聞きました。
「ハウスメーカー、工務店との大きな違いは、設計事務所は“家を建てられません”。われわれは、施主の要望に沿った図面を描き、施工業者がその図面通りに建てているか監理するのが仕事です」と前置きした上で、長谷さんは、「もちろんハウスメーカーにも工務店にも建築士はいます。では、何が違うのか。住宅会社にはそれぞれ得意とする工法やデザインがあって設計に“制約”が生じます。そうした型にとらわれず自由な発想で設計できるのが、設計事務所の魅力」と説明します。
構造(木造、鉄骨、鉄筋コンクリート)も間取りも、外壁、フローリング、タイル、壁紙などの仕上げ材やキッチン、バスタブといった設備も自由に選べ、狭小地、変形地にも対応可。でも、気になるのが金額のこと。設計事務所に依頼すると“お高い”イメージ。「家を建てて利益を出すのが目的ではないので、例えば予算は1000万円でと言われれば、その範囲で建てられる図面を引きます。逆に、“理想の家”を追求するといくらになるのかを知って、予算内に調整していくこともできます」と長谷さん。
ただ、建築士の知識や経験値をもとに、材料や設備などで予算に近づけてはいくものの、最終的に、金額が確定するのは、施工業者の相見積もり後。ハウスメーカーや工務店なら、Aプランだと2000万円、オプションをつけるとプラス100万円といったように早い段階で明朗会計。一方、設計事務所では、図面通りに建築するといくらになるのか、複数社の工務店から見積もりをとって施工業者を決定します。「不思議なことに“同じおうち”なのに価格が違うんですよね」と。
ひとえに設計事務所といっても、芸術性を重視しているところ、技術面に重きを置いているところもあって多種多様。どの建築家に依頼すれば自分たちのスタイルに合った家が建てられるのか、ホームページなど写真だけで判断するのではく、完成見学会で手掛けた住まいを見て検討することをおすすめします。
関連キーワード