切った髪の毛でフルオーダーメードのヘアウィッグを作り、病気やけがなどで髪の毛に悩みを抱えている子どもたちにプレゼントする〝ヘアドネーション〞。通常は捨てられてしまう髪の毛ですが、大切に扱われ、子どもたちのために役立てられます。髪の毛を寄付することで、子どもたちに笑顔を届けませんか。

18歳以下の子どもに無償で贈る
ヘアドネーションの輪を全国へ

柴咲コウや水野美紀など芸能人が活動に参加したり、メディアに取り上げられたり、少しずつ認知度が高まってきている〝ヘアドネーション〞。でも、まだまだ知られていないのが現状です。

ヘアドネーションとは、寄付された髪の毛を利用し、人毛100％を使ったフルオーダーメードのウィッグ（かつら）を製作。小児ガンなどの治療過程や先天性の無毛症、不慮の事故などで髪の毛に悩みを抱えている18歳以下の子どもたちに、無償でプレゼントする社会貢献活動のこと。

日本では平成21年、大阪の美容師がジャパン・ヘア・ドネーション＆チャリティー（JHDAC・ジャーダック）を設立し、自分の髪の毛を贈りたい人と、髪の毛を必要としている子どもをつなぐ活動を展開。この取り組みに対する賛同者の輪が全国に広がってきています。

髪の毛を伸ばしていたけれども〝イメージチェンジしたい〞〝夏前にすっきりと〞など、切る理由は人によって違いますが、何年もかかって伸ばしてきた髪の毛への愛着はひとしお。自分の髪の毛が誰かのために役立ち、喜んでもらえればうれしいですよね。

下記では、ヘアドネーションの条件や現状などを伝えます。

31cmの髪でつながる人と人

娘への思いが賛同店へのきっかけに
ヘアー＆エステ・リアル、戸田さん夫婦

県内で最初にジャーダックの賛同美容室に登録したのが橋本市の「ヘアー＆エステ・リアル」の美容師・戸田大補さんと妻の順子さん。

きっかけは約1年前、順子さんがインターネット上で“ヘアドネーション”という言葉を見付けたことから。

「次女が小学6年（現高校2年）の時、脂漏（しろう）性皮膚炎にかかり脱毛に。娘は隠すことばかりで、親として何もできずに辛い日々でした。活動に共感し、団体の賛同店を見ると近畿で和歌山だけがなかったんです。当時のことを思い出し、夫に話をして即決しました」と話します。

賛同店になり、ブログなどで発信したところ、すぐに40代の女性から電話が。その後も口こみで広がり、これまでに3歳～70代の幅広い年代の人が同店を訪れています。

同じ思いを持った人
との出会いへ

大補さんは「店を訪れるのは新規の人がほとんど。通常、少しずつ髪を短くしていく人はいても一気に切る人は多くありません。切られる側、切る側ともにお互いのことを知らないリスクも。好みを聞き、質感やくせなどを見極めながら似合う髪形になるようにはさみを入れます。毎回、緊張の連続です」と話します。

2人にとってこの活動はただ髪の毛を切って送るだけでなく、同じ思いを持った多くの人との出会いにもつながっています。「お客さんが“また2年後に”と言って帰っていきます。その言葉はうれしく、励みにもなります」という大補さんの言葉に、順子さんは「もう少し定着してきたら、提供するウィッグをカットするお手伝いもしていきたいです。もちろんカットするのは夫ですが」とほほ笑みます。

“自分たちにできることは”と2人の構想は膨らんでいます。

ヘアドネーションについて教えてQ&A

Q. ウィッグに必要な髪の毛の長さや決まりはありますか

ウィッグに使う髪の毛は、切り口から毛先まで31㎝の長さが必要です。髪の毛をいくつかのパーツに分けてゴムで縛り、ゴムの上側をカットします。白髪やパーマ、カラーリングをした髪の毛、国籍や性別が違っても大丈夫です。製作過程で、髪質・色・太さを均一にするトリートメント処理をするので、極端なダメージがない限り、問題はありません

写真協力：ヘアー&エステ・リアル

Q. ウィッグ1人分を作るのに必要な髪の毛は

20人～30人の髪の毛が必要です。“多い”と驚くかもしれませんが、束になった髪の毛の中には31㎝に満たない短い毛がたくさんあります。提供された1人分の髪の毛80g～120gから利用できるのは約40％。だからこそ、多くの人の協力が大切なのです

Q. 提供から贈られるまでの流れを教えてください

完全フルオーダーですので、頭部の採寸後、希望の髪の毛の長さなどを聞き、約2カ月間かけて完成。子どもにプレゼントされ、美容室で好みのヘアスタイルに整えてもらいます。現在、提供数は94人、待ち人数は110人で最長2～3年待ちです

Q. 自分の髪の毛でできたウィッグを見ることはできるの

ホームページ上の活動報告から、子どもに贈られたウィッグを確認してもらうことはできます。ただ、1人分のウィッグを作るのに何人分もの髪の毛を使っているので、どの部分が自分の髪の毛かは分かりません。提供された髪の毛は大切に利用しています。“自分の髪の毛はどれかな”など、想像を膨らませながら見てもらえればうれしいです

Q. 賛同店でしかカットはできないのでしょうか

髪質や好みを知っている行きつけの美容室でもOKです。ホームページ上にカットの仕方など、詳細を載せているので美容師に説明し、カットしてもらってください。ただし、郵送の手間や送料はご自身で負担していただくことになります

Q. 髪の毛の提供以外で何か手伝えることは

周囲に広めてもらい、多くの人に活動を知ってもらいたいです。この活動は美容師をはじめ、多くの人に支えられていますが、作業工程などで人手がまだまだ足りません。手伝っていただける人大歓迎です

※電話での問い合わせなし。返信に時間が掛かることもあり。質問の前にホームページ“よくある質問”を確認

ヘアドネーションに参加できる和歌山の美容室（リビング和歌山配布エリア内）

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