地震災害、起こる前に対策を!
- 2024/3/7
- フロント特集
日本は、揺れの原因となるプレートがせめぎあう場所に位置し、世界の中でも地震の多い国です。今後30年以内に高い確率で起こるとされている「南海トラフ地震」。和歌山県は震源地に近く、地震・津波で大きな被害を受けると予測されます。被害を最小限にとどめるには事前の備えが重要。家族で話し合うきっかけにしてください。
日頃から防災・減災の準備が大切
石川県能登地方を震源とするマグニチュード7・6、最大震度7の揺れを観測した能登半島地震から、2カ月余り。家屋の倒壊や2次災害の火災などで、いまだ多くの人が避難生活を余儀なくされています。今回の半島での災害は、地形的にも和歌山県にとって他人事ではありません。
今後30年以内に70~80%の確率で起こるとされている「南海トラフ地震」。マグニチュード8~9クラスの地震といわれ、南海トラフ地震の震源地に近い和歌山県は、家屋の倒壊、津波による浸水や人的被害の他、道路の亀裂や土砂崩れなどの影響で、道路などが寸断され、孤立集落が多数発生することも予測されます。また、ライフラインが損傷すると、電気、ガス、水道などが途絶え、復旧するまでに時間がかかります。通信環境も例外ではなく、携帯電話が使えなくなることも考えられます。県によると、南海トラフ地震による地震直後の被害(全県)は、停電が100%、ガスの停止が25%、断水が99%、携帯電話も全域で非常につながりにくい状況。停電は1週間後に25%、ガスは1週間後に19%、断水は1週間後に46%・1カ月後に28%まで復旧すると予測されています(2014年3月、県地震被害想定調査より)。
災害が起こる度に、「ちゃんと準備しておかなきゃ」と思いますが、時間とともに忘れてしまいがちに。県防災企画課・森一聖さんは「何よりも重要なのは命を守ること。また被災後、ライフラインが復旧するまでの生活を考えておくことも大切です。自分が住む地域の被害予測を知り、さまざまな角度から“もしも”を想定し、日頃から防災・減災に向けた準備をしておきましょう」と呼び掛けています。
耐震化や自治会組織の防災強化
地震による建物倒壊は、命を奪うだけでなく、がれきの中から自力で脱出することができず、閉じ込められる危険性があります。リスクを軽減するには、建築時期が古い住宅・建物は事前の耐震対策が大事です。
和歌山県内の市町村では2004年、住宅の耐震化補助事業を開始(左記参照)。耐震化率は18年は81%、20年は83%と増加しています。
また近年、全国的に避難所運営を行政だけでなく、自治会の自主防災組織が主になって行ったり、在宅避難したりするケースも増えています。県内の自主防災組織率は97%。定期的に訓練を行っている自治会があるものの、行っていない自治会も多く、地域のつながりの強化も今後の課題の一つです。森さんは「日頃からの地域のつながりが災害時にも力を発揮します。県としても能登半島地震を踏まえ、本県の防災対策の強化を図っていきます」と話しています。
耐震支援制度を活用して早めの診断・相談・対策!
診断
耐震診断は、2000(平成12)年5月以前に建築された木造住宅は無料。耐震診断士が自宅を訪問し、現地調査が行われます。結果は約2カ月後。1981(昭和56)年5月以前に建築された非木造住宅は診断費の2/3、最大8万9000円の補助が受けられます。
希望する人は、最寄りの市町村役場の窓口で申し込みを。
相談
耐震性が不足すると診断された木造住宅。“これから何をすればいいの?”“工事費用は?”“誰に頼む?”などの相談には、県の認定を受けた「耐震マネージャー」が無料で応じてくれます。
問い合わせ | 073(441)3216 県建築住宅課 |
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申し込み | 073(423)2562 和歌山県建築士会 |
対策
改修工事の費用は、120~140万円になることが多いとされています。少しでも自己負担を減らすためには、市町村の補強設計と改修工事への補助制度を利用するのも一つの方法です。最大116万6000円受けられます。
活用する際は、設計事務所や工務店との契約前に、必ず市町村の窓口で相談してください。
耐震化相談窓口(診断・対策) 問い合わせ |
073(435)1099 073(483)8482 0736(61)6938 |
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南海トラフ巨大地震で
想定される震度と津波
想定される震度(2014年10月、和歌山県公表)
■震度5強 ■震度6弱 ■震度6強 ■震度7
震度と揺れの状況一例
■震度5強
固定していない家具が倒れることがある
■震度6弱
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある
■震度6強
耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる
■震度7
耐震性の低い鉄筋コンクリート造の建物では、倒れるものが多くなる
想定される津波の最大津波高・
平均浸水深・到達時間
(2013年3月、和歌山県公表)
事前の備えと確認でリスク軽減
地震災害の備えは? 和歌山県防災企画課の山本侑加さんと、「きいちゃんの災害避難ゲーム」を基に防災・減災に向けた準備を確認!
■事前対策 ■事前確認
家具の固定
家具の転倒や落下で負傷する可能性があります。家具の固定はもちろん、寝室や玄関など、家具が倒れる向きを考えて配置し、負傷や避難の妨げの原因にならないようにしましょう。家具転倒防止用品は、ホームセンターなどで手に入ります
住宅の耐震化
能登半島地震では、古い木造建築を中心に多くの家屋が倒壊。倒れた家屋の下敷きになったことなどによる「圧死」が全体の約40%ともいわれています。費用負担が足かせとなり、耐震改修が進んでいない人は、耐震支援制度の活用も視野に入れてみては(詳細は前項)
塀の安全対策
鉄筋が入っていないブロック塀や石積みの塀は、地震時に倒壊し、道路をふさいだり、人的被害を起こしたりすることがあります。塀を所有・管理する人は安全点検を。
【問い合わせ】073(441)3184県建築住宅課
自宅の施錠
災害時、混乱に紛れてさまざまな犯罪が起こりやすくなります。自宅から避難する際に施錠をすることで、避難中の空き巣などを防ぐことができます。また、避難所では貴重品を手放さず常に身に着けておくのが大切です
通電火災の予防
ブレーカーを落とさずに逃げると、後で通電火災が起こることがあります。感震ブレーカーを設置していれば自動でブレーカーが落ち、通電火災を防げます。万が一の出火に備え、家庭用消火器を用意するなど対策を
非常時の持ち出し品
地震が収まった後、すぐに避難できるよう避難バッグを準備。あれこれ詰め込め過ぎると、荷物が重く、移動が大変です。飲料水・食料、日用品、救急・衛生用品、貴重品など、最低限必要なものを。市販の防災セットに、自身の必要なものを足すのも一つの方法です
家族と情報共有
災害は自宅で起こるとは限りません。互いの連絡方法やどこに逃げるか、どこで合流するかなど、万が一に備え、必要な情報を家族で共有しておきましょう。緊急連絡先、避難先などの情報を記した避難カードを作るのも有効です
「ハザードマップ」で避難場所・経路を把握
安全な道を通っていけるよう、事前に避難場所と避難経路を確認。支援が必要な人はあらかじめ、避難・支援方法を考えておくことが大切です。また、日頃から避難訓練をしておくことで、夜道でもスムーズに避難することができるようになります。自身が住む地域のハザードマップについては、スマートフォン用アプリ「和歌山県防災ナビ」で確認できます
伝言ダイヤル171
災害時に、家族や、知人の間で安否を伝える声の伝言板。被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった際、提供されます。録音は「171→1→自分の電話番号→録音」、再生は「171→2→相手の電話番号→再生」
防災情報の入手方法
「和歌山県防災ナビ」アプリをスマートフォンにインストール。ハザードマップ、避難カード、避難方法などの機能を使いこなせるようにしておくのがおすすめ。他にも、ラジオや防災行政無線、緊急速報メールなど、情報の入手のために事前の確認を
災害時や、災害の恐れがあるときの的確な避難促進を目的につくられたアプリ。警報・注意報などが自動通知される他、現在地から見た近くの避難先、家族が避難した場所、河川の水位・降水量なども確認できます。避難トレーニングや災害の備えとして必要な備蓄品を自動計算する機能も。下記URLからダウンロードできます。
ダウンロードはこちら▶https://wakayama.bousai.linksmart.jp/contents/redirect.html
和歌山県オリジナルの防災学習ツール。災害時の避難行動や日頃の備えの重要性、避難所運営のための協力体制などを、楽しみながら実践的に学べます。地域での訓練や学校での防災教育など貸し出し用として、振興局総務県民課、市町村に置かれている他、データをダウンロードすれば、印刷して活用できます(ダウンロード・貸出無料)。
【問い合わせ】
073(441)2271和歌山県防災企画課
詳しくは▶https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011400/kiichangame.html