地域・社会問題まで発展している空き家対策 中古住宅の建物状況調査で 売り主も買い主も安心取引
- 2018/4/26
- ハウジング
欧米では定着、日本でも普及促進へ位
「両親が亡くなって、実家が空き家に…」。近年、よく耳にする話ですね。増え続ける空き家が、地域・社会問題となっている昨今、「和歌山県宅地建物取引業協会(県宅建協会)が、宅建会館(和歌山市太田)に開設している『不動産無料相談所』(月~金曜午後1時~4時半)にも、多くの人が遺産相続した不動産の相談に来られます」と県宅建協会広報啓発委員長の末吉亜矢さんは話します。
そうした中、既存住宅の流通市場やリフォーム市場の拡大に向け、宅地建物取引業法(宅建業法)の一部が改正され、中古住宅の取引に関して、仲立ちをする媒介業者(宅建業者)が、売り主、買い主に対して「建物状況調査(インスペクション)」の活用を促すことが盛り込まれました(2018年4月1日施行)。
「インスペクションとは、建物の基礎や外壁のひび割れ、雨漏りといった家屋の劣化状況や不具合を専門家が調査することです。調査には費用がかかりますが、売り主にとっては、物件引き渡し後のトラブルの要因が軽減でき、買い主にとっては、購入の判断材料になり、安心して取引ができます」と末吉さん。
同じ家に50年、100年と住み続ける欧米では、中古住宅のインスペクションが制度として定着。日本でも、国土交通省が2013年にガイドラインを策定して普及に努めてきましたが、浸透していないのが現状です。
「『建物状況調査』とは別に、建物の主要な部分で隠れた瑕疵(かし)が見つかった場合に修補費用などを保証する『既存住宅売買瑕疵保険』のサービスもあります。消費者の間で『建物状況調査』の制度が認識されれば、『建物状況調査』と併せて『既存住宅売買瑕疵保険』をつけて売買することが、中古住宅流通の基本となるかもしれません」と末吉さんは説明します(保険利用には条件があります)。
ただし、中古住宅のインスペクションは、依頼者(売り主・買い主)の意向に応じて実施するもので、義務ではありません。制度について詳しく知りたい人は県宅建協会まで。
県宅建協会 | 073(471)6000 |
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