工事で掘り出されるところを偶然発見
和歌山大学松下会館(和歌山市西高松)の敷地北側一角に、和歌山県の歴史遺産、和歌浦街道松並木・遺物「伐採根」の保存設備が整い、1月26日、同会館で保存展示披露式典が行われ、関係者約40人が出席しました。
除幕式では、和歌山大学の本山貢学長、和歌浦松並木顕彰会の木下守代表ら6人が幕を引き、その後、同会館セミナールームで経緯説明会が開かれました。
伐採根の元の姿、和歌浦街道(和歌道)の松並木は、江戸時代初期に初代藩主徳川頼宣によって、和歌山城から和歌浦東照宮へと続く参詣道として整備されました。
和歌山市高松交差点から和歌浦口あたりまで、約800m、高さ20㍍ほどの松並木は、「和歌浦街道ノ松並木」として1926年に和歌山県の史跡(文化財)に指定されました。しかし、アジア太平洋戦争期の1943年2月に指定が解除され、約200本あった松は軍需木造船の資材にするため、すべて伐採されました。
2021年10月、水軒口交差点から秋葉山交番まで(国道42号)の地下共同溝設置工事の際、掘り出される伐採根の様子を同大の藤本清二郎名誉教授が偶然発見。
「伐採根は、城下町和歌山の文化歴史の痕跡であり、地域の戦争の足跡を振り返る手がかりにもなります。この貴重な歴史遺産を後世に残したい」と、藤本名誉教授は保存展示に向けて取り組んできました。地域の有志団体「和歌浦松並木顕彰会」の支援のもと、大学に働きかけて展示保存が実現。掘り出された伐採根のうち3体(大・小・根一部)を展示。大は年輪から1830年代ごろ、小は1860年代ごろに植えられたと推測されます。この伐採根の展示によって、江戸時代の参詣道の風景や和歌街道の田園風景を想像することができます。
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