和歌山×和菓子文化を考える
- 2014/12/4
- 大人リビング
室町時代から受け継がれ、城下町で花が開いた
和歌山×和菓子文化を考える
今年5月に「総本家駿河屋」の灯が消滅…。全店閉鎖のニュースは、和歌山の文化を考える上で、大きな損失だと指摘されています。この事態を何とかしようと、和菓子を通じて魅力的な街づくりを目指す「紀州の和菓子と文化を考える会」が発足。活動をスタートさせています。
脈々と続く和菓子文化
寛正2(1461)年、京都で創業した「饅頭処(まんじゅうどころ)鶴屋」。豊臣秀吉が晩年、「北野大茶会」を催した際、引き出物として諸侯に配った「伏見羊羹(ようかん)」は、この鶴屋が作ったものです。
鶴屋は徳川家康とともに駿府(静岡)に移り、家康の十男・頼宣が紀州藩主になると、今度は和歌山へ。将軍徳川綱吉の長女・鶴姫が、紀州徳川家の嫡男で後の三代藩主・綱教(つなのり)の正室に決まり、「同じ名前では恐れ多い」と屋号を返上して「駿河屋」の名を賜ります。十代藩主・治宝(はるとみ)は茶の湯文化を深め、和菓子文化も醸成。その中心は駿河屋でした。
室町時代から約550年にわたって受け継がれてきた、駿河屋の味と和菓子文化。時代は流れても多くの人々に愛されてきましたが、今年5月に「駿河屋全店閉鎖」が報道されます。
「駿河屋の倒産は、一つの和菓子屋が閉店しただけでは済まされません。先人たちが培った和歌山の文化にとって大打撃」と、和歌山大学客員教授の鈴木裕範さんは危機感を募らせます。
街の未来を一緒に考察
閉鎖報道後すぐ、鈴木さんが中心になって緊急シンポジウムを開催。和菓子文化を守り育てる団体の結成について参加者に打診をしたところ多くの賛同者を得て、「紀州の和菓子と文化を考える会」を設立。11月22日に、設立会と記念シンポジウムが行われました。
一般市民約60人が参加。基調講演やパネルディスカッションで、和菓子文化の素晴らしさを認識し、市民はこれから何をすべきか、何が必要か、さまざまな意見が出ました。
会の代表となった鈴木さんは、「駿河屋の閉店は、この街の文化に対する市民の意識を問う良い機会になったのではないでしょうか。会の発足により、和歌山の文化を耕し、発掘し、街の将来を考えていきたい」と話し、賛同する仲間を募りました。
またパネラーの若菜晃子さんは、「洗練された街づくりが進んでいる長野県松本市は、和菓子をキーワードにイベントなどを展開しており、いいモデルになります」と提言しました。
紀州の和菓子と文化を考える会(会員募集)
和菓子を通して和歌山の歴史と文化を学び、魅力的な街について考え、提案することを目的とした「紀州の和菓子と文化を考える会」は、同会の趣旨に賛同する会員を募集中です。
学習会やフィールドワークで地元菓子の調査・研究、県内外の菓子店を訪ねる和菓子ウオークなどを行い、菓子店とコラボレーションして消えた紀州菓子の復活を目指し、新銘菓の提案に挑戦します。
年会費は2000円。なお、活動ごとに実費が必要な場合もあります(会員価格)。まずは下記まで問い合わせを。
お問い合わせ | 紀州の和菓子と文化を考える会事務局(市民の力わかやま内・山本さん) |
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電話 | 073(428)2688 |
ホームページ | https://www.facebook.com/kishuwagashi |
メール | kishuwagashi@gmail.com |