国内外の消費者にアピール、業界の活性化に
タグ付けで他産地と差別化図る
認知度アップと国内外での販売強化を目指し、和歌山ニット商工業協同組合と和歌山ニット工業組合は、「和歌山ニット(WAニット)」オリジナルブランドのタグを作成し、一定の基準を満たした衣料品を、産地ブランドとして認める制度を開始しました。
今月、東京の銀座三越への出荷を皮切りに、タグで産地を見える化。他産地との差別化を図るとともに、消費者へのPR、さらに県内のニット業界の活性化へつなげます。
丸編み生地出荷額が日本一(平成25年度経済産業省統計)の県産ニット。高い技術や品質を誇る一方で、消費者が店などで手にする最終製品(衣料品)を作る会社が少ないため、産地のPRや発信力が弱いのが現状。
そこで23年度から、和歌山ニット工業組合では、同省が進めるジャパンブランド育成支援事業の助成を受け、テキスタイル見本市への出展や、服飾デザイナー・コシノミチコとのコラボレーションに取り組むなど国内外でPR。積極的に販路を拡大してきました。
今回タグ付けが認められるのは、和歌山ニット商工業協同組合に加盟しているニット工場で作った丸編みニット生地を、国内で染色、縫製した衣料品だけ。タグには、編み地を表現したロゴマークを入れ、1枚10円で販売。販売時にアパレルメーカーが任意で付ける仕組み。また、タグの裏にはシリアルナンバーが記され、製品化されるまでの工場の履歴がたどれるようになっています。
今月5日、和歌山市ト半町の組合で会見が開かれ、森下展行理事長は「県内の丸編みニットは、肌着やスポーツ着などに使われ、多種多様。編みの技術が高く、風合いや品質に優れているのが特長で、世界の高級ブランドにも採用されていています」と県産ニットの良さをアピールしました。
和歌山のニット産業始まりは明治35年。昭和に入り、最盛期には会員企業が300社を超えていましたが、グローバル化や後継者不足で廃業するなど、現在は67社と減少しています。森下理事長と会員らは「今、日本製品の良さが見直され、人気が高まってきています。『WAニット』ブランドを発信することで市場を拡大。若い後継者を増やし、歴史ある高い技術を継承していきたいです」と話し、業界の未来を見据えていました。
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