和歌山の空き家事情③ 家を手放さずに、貸し出す 「マイホーム借り上げ制度」
- 2018/3/22
- ハウジング
50歳以上の人が対象、空室時の補償も
“誰も住まないまま家を放置するのは不安なものの、思い入れがある家を売却するのは忍びない”など、売ることも、貸すこともできず、空き家になっているケースも少なくありません。
不動産会社「エポック」代表取締役の山下茂男さんは、「空き家のままだと、傷みが激しくなります。既存住宅の活用の方法の一つとして、家を手放さず人に貸し、家賃収入を得る“マイホーム借り上げ制度”があります」と話します。
これは、国土交通省が支援する「移住・住みかえ支援機構(JTI)」が運営する制度で、2006年4月に創設。住み替えを考えている50歳以上の人が持つ家をJTIが借り上げ、賃貸住宅として貸し出すというもので、昨年度より、和歌山県と県内市町村が、この制度を活用する取り組みを始めています。
県内では、同社などが家を貸したいと考えている人をサポートする、JTI協賛事業者として登録しています。
制度を利用するには、1981(昭和56)年6月1日以降の耐震性を満たしていることや、事業用の物件でないことが必要。契約すると、JTI協賛事業者のサポートで、賃貸査定を受けます。その後、制度を利用するとなったら、耐震性や水回りの設備に問題がないか判断するための診断をし、工事が必要な場合は、貸し手側の負担で補強・改修となります。1人目の入居者(3年ごとの契約)が決まると、貸すのをやめない限り、次の契約期間まで、その住宅が空き家になっていても、査定賃料下限85%がJTIから継続的に支払われます。
一方、借り手は、敷金・礼金が要らない上、良質な住宅を相場よりも安い値段で借りられます。
山下さんは「空き家を持ち、制度を利用しようかどうか迷っている人は、JTI協賛事業者に相談ください」と話しています。