和歌山の空き家事情① 全国でも高い県の空き家率 中古住宅の促進など対策
- 2018/3/8
- ハウジング
10年以上の空き家物件が全体の約4割
誰も住まなくなった建物が放置されたままの空き家。そのままにしていると、倒壊の危険や景観の悪化など、多くの問題が起こってきます。
総務省の「2013年住宅・土地統計調査」によると、空き家数は全国で820万戸、うち和歌山県は8万6000戸でこの20年で1・7倍に増加。空き家率は18・1%と全国でも3番目に高く、空き家の状態に応じた適切な対応が必要になっています(グラフ参照)。
和歌山県建築住宅課によると、空き家には「賃貸用」「二次的住宅(別荘など)」「売却用」「その他」の4種類あり、「その他」の割合が、4万8200戸と全体の約6割を占めているとのこと。
「その他」とは、買い手や借り手を探しているわけではなく、そのままに置かれている状態のことで、住まなくても維持管理を行っていれば問題はありませんが、放置が長引くと問題が起こってくる確率が高くなります。同課は「昨年行った空き家に関するアンケートからは、空き家になってからの期間が10年以上というのが全体(1179件)の約4割(453件)を占めていることが分かり、新たな対策へと動いています」と話します。
一方、従来の空き家対策も徐々に実を結び、県内の中古住宅の成約件数(戸建て、マンション)は、2014年449件、2015年497件、2016年503件と年々増加傾向に(近畿レインズ調査)。同課は「世帯数が減る中、空き家の発生を抑制するためには、今まで以上に中古住宅の流通促進が必要になってきます」と話します。
県は新年度も空き家対策に注力。インスペクション(建物状況調査)や「マイホーム借上げ制度」などで中古住宅の流通を進める他、所有者への適正管理についての啓発や、「空き家管理代行サービス」の体制づくり、管理不十分な空き家は除却・修繕するなど、方針を打ち出しています。
次回は、4月から始まる安心して中古住宅を手に入れる制度「安心R住宅」について紹介します。