命を救う身近でできる社会貢献
献血で自身の健康も管理
和歌山県内の献血率は昨年度全国2位、高校生にも周知
輸血用の血液を支えている献血。協力者には後日、血液検査の結果が通知されるので、社会貢献と健康管理が同時にできると定期的に行う人も。和歌山県赤十字血液センターの献血ルームなどで話を聞きました。
協力のお礼として血液検査の通知も
平日の夕方、和歌山県赤十字血液センターの和歌山駅前献血ルーム(和歌山市美園町)のベッドは満床に。今回で32回目という公務員・菅大介さんは「家族が病気になったのがきっかけです。誰かの役に立てば、と定期的に来ています」と笑顔を見せます。
輸血といえば、事故や大きなけがを負ったときに使われるイメージがありますが、実際には約80%以上が「がん」など病気の治療に使用。全国で1日平均3000人が輸血を受けています。
和歌山県では輸血に必要な血液を安定的に確保するには1日140人以上の協力が必要です。同センターによると、2018年度の献血に協力する人の割合(献血率)は全国2位。同センター献血推進課の担当者は「過去5年を見ても上位で、意識の高さが分かります」と話します。
しかし近年、全国的に10~30代の献血者が減少。和歌山県も例外ではなく、10~30代は全体の34%(2018年度調査)、10年前と比べると約6000人減っています。「献血の可能年齢は16~69歳(条件あり)。このまま減り続けると、いつか需要に追いつかなくなります。長い目で見て若い人への周知が必要と考え、大学生はもちろん、高校生の献血に力を入れています」と説明します。
献血は血液そのものを提供する「全血献血」と、血漿(けっしょう)や血小板の成分だけを提供する「成分献血」の2種あります。献血前には、医師の問診や採血でヘモグロビン濃度を調べます。基準を満たさなければ献血はできません。担当者は「ヘモグロビンが足りない人には、簡単な栄養指導のアドバイスをします。数カ月後に再び来てくれる人も」と表情を緩めます。
提供した人にはお礼として後日、肝機能やコレステロールなどの血液検査の結果が送られてきます。「献血で救われる命があります。また、自身の健康を意識するきっかけにもなります」と協力を呼びかけています。献血に関する日程は左記を。
献血と併行した骨髄バンク登録会も
今年2月、競泳の池江璃花子選手が白血病を公表して以降、関心が集まった骨髄のドナー(提供者)。血液の病気の人に、骨髄液や末梢(まっしょう)血幹細胞を提供する場合、日本骨髄バンクへの登録が必要で、全国約51万人が登録しています(2019年6月現在)。
和歌山県では、献血ルームをはじめ、県や和歌山市など行政主催の献血と併行した登録会を開催。県で約6000人が登録(同)しています。
ドナー候補者に選ばれるのは全体の約40%ですが、仕事の都合などから実際に提供した人はわずか約2%。県薬務課の小河寛さんは「骨髄などの提供は通院や入院が必要です。企業が特別休暇と扱う“ドナー休暇”制度導入企業は全国で約400社。一人でも多くの患者を救うため、県内の企業にも導入を検討いただきたいです」と話しています。詳細は下記まで。
和歌山駅前献血ルーム(和歌山市美園町)
受け付け | 午前9時半~午後1時、2時~5時45分(成分献血は5時) |
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定休日 | 金曜 |
問い合わせ | 073(427)2770同ルーム ※他、献血に関する問い合わせは073(499)7762和歌山県赤十字血液センター(月~金曜午前9時~午後5時半、祝日除く) |
骨髄バンクドナー登録
問い合わせ | 073(441)2661和歌山県薬務課 |
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