口から始まる健康づくりvol.53
長引くマスク生活
口呼吸が歯や口腔に与える影響
- 2022/8/25
- みんなの健康
- 歯医者さんに聞きました!(口から始まる健康づくり)
口呼吸で歯並びや噛み合わせが変化
成長期の子どもは特に注意を
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、習慣になっているマスクの着用。実は、長引くマスク生活が、多くの人の歯や口腔環境に影響を及ぼしているんです。マスクをしていると、暑い季節は特に鼻呼吸がしづらく、無意識のうちに口呼吸になりがち。この口呼吸が、歯や口腔のさまざまなトラブルを引き起こします。
口で呼吸をすることによって、細菌やウイルス、ほこりなどが直接体内に取り込まれることに。さらに口腔内が乾燥することで唾液の持つ浄化作用が弱まり、虫歯や歯周病の原因となる菌が活動しやすい環境になってしまいます。虫歯や歯周病は、全身の健康にも悪い影響をもたらします。
また、子どもは特に、口を開けたままの状態が続くと口周りの筋力が弱まり、口をポカンと開けた表情が常態化しがち。リラックスしているとき、舌は上あごに軽く触れているのが通常の状態。しかし口を開けている時間が長くなると、舌が前に出て歯を押し、歯並びやかみ合わせも変化します。舌の機能は、食べ物を飲み込む力や言葉の発音にも関わるため、口呼吸から鼻呼吸に改善することは、成長期の子どもにとって非常に重要です。
暑い時期、口呼吸をしなければならないほどの息苦しさを感じる場合は、〝マスク酸欠〟を防ぐためにもマスクを外しましょう。酸欠状態になると、頭痛が起こったり、集中力が低下したりするなど、心身に影響を与えます。子どもは特に注意を。鼻呼吸を意識すること、口元や舌の筋力を鍛える「あいうべ体操」などをすることで予防になります。いつもの歯のケアを続けるのはもちろん、状況に応じてマスクを外して酸欠になるのを避け、鼻呼吸を意識して歯や口の環境を整え、心身の健康を守りましょう。
(川崎豪彦)
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