設計前のコンセプトを順守して
念願のマイホームを手に入れても、住んでいくうちに「あーすれば良かった」「ここをこうしておけば…」と多少なりとも出てきます。不動産・住宅情報サイト「スーモ」が昨年11月に実施したアンケート調査「自宅の満足度に関して」では、最も不満を感じるのは「収納スペース」と出ていますが、では、なぜ「収納」が不満の要素になるのか、整理収納アドバイザーで、新築・リフォームの収納スペースの相談も請け負う宮本美保さんとともに考えていきます。
「一つは、家を建てる前に、新しいおうちに引っ越したら、今使っている家財を持っていくのか、引っ越しを機に処分するのか、そこをまず考えられていない、もしくは処分を実行できていないから。もう一つは、施主と建築士の間で、“わが家のものの量”が共有できていないからではないでしょうか」ときっぱり。
最小限の家財で身軽に暮らしたいという人もいれば、大切な思い出が詰まったものに囲まれて生活したいという人もいます。それは価値観ですから、どちらが良い、ダメというのではありませんが、「前者で収納に不満が出るのは、単純にものを増やしてしまっているだけ。後者は、ものを減らせないなら、デザインより収納を優先した設計が求められますよね。そこを建築士がどれくらいヒアリングできているのか、逆に、施主もどこまで本音で話しているのか。コンセプトがずれているから収納問題が起こってくるんです」と分析します。
一般的に、一軒家だと40坪(約132平方メートル)で20%、つまり12~16畳くらいの収納が必要といわれています。しかし、現況は、注文住宅の床面積の全国平均は38坪(約126平方メートル)で、収納率は13%程度というのが実情。「うちが片付かないのは収納が小さいからと思っているあなた、その考えは間違いです。収納が広くっても片付かないものは片付きません。“もの”と体重は同じようなもの。気が付いたら増えていて、ダイエットをしても、油断すればリバウンドします」と。次回は、収納の配置についてアドバイスします。
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