世界で初めて開発・製造・販売
和歌山で生まれたスポンジたわし

リビング和歌山6月17日号「世界で初めて開発・製造・販売 和歌山で生まれたスポンジたわし 」

 キッチンの必需品ともいえるスポンジたわし。実は和歌山生まれであること、知っていました? 和歌山県のものづくり企業にスポットを当てたシリーズ、「すごいぞ! 和歌山の底力」。今回は家庭用品メーカー「キクロン」に、ロングセラー商品「キクロンA」の開発経緯や長寿の秘密について聞きました。

キクロン 	代表取締役社長  嶋津俊宏 Shimazu Toshihiro

キクロン代表取締役社長
嶋津俊宏 (Shimazu Toshihiro)

スポンジたわしの元祖
累計販売数は8億個以上

 スポンジ面で食器を洗い、片面にあるナイロン製不織布で鍋を磨く。2つの素材を貼り合わせたキッチン用スポンジたわしは、家庭用品メーカー「キクロン」により、1960年に世界で初めて製造されました。同社の看板商品となる「キクロンA」は60年を超えるロングセラーを誇り、累計販売数は8億個以上!

現在、和歌山市に本社を構えるキクロンが創業したのは48年。創業者の児玉勲氏が海草郡下津町(現・海南市下津町)に「菊たわし製造所」を立ち上げ、地場産業である棕櫚(しゅろ)製品の亀の子型たわしやほうきを製造して販売します。

「たわしに代わる独創的な商品を生み出したい、と意欲的に試作を重ね、60年に完成したのが貼り合わせスポンジたわし。今のキクロンAの原型です」と話すのは、代表取締役社長の嶋津俊宏さんです。「研磨粒子入りナイロン不織布と伸縮性が高いウレタンスポンジを、オリジナルに開発した接着剤で貼り合わせる製造方法は変わっていません」とも。

「洗う」と「磨く」を兼ね備えたスポンジたわしは、今までにない画期的なものでした。しかし当時は亀の子型たわしが一般的で、スポンジ自体が珍しかった時代。また、亀の子型たわしが1個30円に対し、90円の価格設定だったこともあり、「品質に自信はあったものの消費者の反応は薄く、販売に苦戦を強いられました」。商談先では実際に皿を洗って使い心地の良さをアピールしたり、営業の行き帰りの電車では乗客にサンプルを配ったりしたことも。

その後、台所用液体洗剤が普及し始め、泡立ちのよいスポンジが求められる時代背景や、パッケージデザインのリニューアルの反響も後押しし、キクロンAの売り上げは伸び始めます。同タイプの商品が他社からも発売されますが、キクロンAの耐久に優れた品質が消費者に認められ、さらに売り上げを伸ばし、66年にはキクロン株式会社を設立。74年には和歌山市に自社工場を完成させ、現在も月間100万個以上を製造しています。

キクロンがこだわるのは「ロイヤルカスタマーに貢献するものづくり」と嶋津さん。「『一度使ったらまた使いたくなる』と、いつまでも愛着を持ってお求めいただけるような商品づくりに尽力します」

キクロンAのブレイクの立役者
「キクロンおばさん」秘話

キクロンA

創業時の屋号の「菊」とナイロンの「ロン」を合わせて「キクロンA」に。オンラインショップ価格で248円
キクロンAのブレイクの立役者

キクロンAの顔であり、長年愛されているキャラクター、その名もキクロンおばさん。キクロンAの売り上げが伸び悩んでいた発売当初、ある画家が児玉氏を訪れて、「売り上げを3倍にする」と言って描いたのが彼女でした。外国人風の女性のイラストをパッケージに使うと、注目を集めてヒット商品に!
キクロンHPでは「キクロンおばさんのブログ」を開設中。彼女のプロフィルがお披露目されています。

「一度使ったらまた使いたくなる」高い品質を誇るものづくりを徹底

さらなる事業展開と地域貢献で
地元和歌山を盛り上げる

キクロンは和歌山市森小手穂の本社工場と海南工場に加え、新工場を和歌山市吉礼に建設中です。「主力製品の生産設備を増強し、生産性の向上や収益の拡大、商品原料のストックスペースや社員の安全な作業場の確保などが建設の目的です」と嶋津さん。「本社工場から東へ1キロほどの場所に建てられ、来年の春に完成を予定しています」

新工場を和歌山市吉礼に建設中

和歌山南スマートICまで車で2、3分とアクセス至便な新工場

昨年は日本記念日協会に、同社の設立記念日である7月1日を「貼り合わせキッチンスポンジ・キクロンAの日」として申請し、登録されました。「和歌山が、スポンジたわしの発祥の地であることを広めていけるような広報活動を展開していけたら…」と、広報室の塩田かおりさんは気合を入れます。

塩田かおりさん

「キクロンの日」のロゴマークをアピール、広報室の塩田かおりさん

県を代表する企業の一つとして、地域貢献や地元の活性化を目的とした活動にも取り組みます。「和歌山県の森林保全活動である『企業の森』に昨年から参画しています」と嶋津さん。かつらぎ町にある世界文化遺産、丹生都比売(にうつひめ)神社の近く、高野参詣道町石道沿いにある森林約3万平方メートルを「にうつひめの森」とし、林内整理や間伐を行って森林保全に努めます。

「にうつひめの森」の看板

高野参詣道町石道の125町石と126町石の間に設置されている「にうつひめの森」の看板

「ここ数年はコロナ禍で実現できていませんが、近隣の小学校の児童を招いて工場見学を行っていたことも」とも。「製造現場を見てもらい、地元にもものづくりに特化した企業があるんだ、と子どもたちに意識してもらえたら」と、嶋津さんは話していました。

本社工場内ショールーム

本社工場内にあるショールームにはキクロンの商品がズラリ(商談用スペースで一般には非公開)

ボディータオルの製造開発で
文部科学大臣表彰を受賞

キクロンのものづくりパワーはスポンジたわしだけにとどまりません。同社ではキッチンやバス・トイレの清掃用品から洗濯用品まで、“洗う”をテーマにさまざまな家庭用品が企画・開発されていますが、今年4月には、ボディータオルの開発に携わった広報室の塩田かおりさんが、2023年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(技術部門)を受賞しました。

塩田さんは開発部門在籍時に泡立ちと肌触りを追求したボディータオルの開発に従事。「ボディータオルはこするものではなく、体をきれいにするためのもの」と塩田さん。ボリューム感のある泡持ちで、肌への刺激が少ないタオル生地の改善にも取り組みました。織りや編みの加工や糸の素材の選定にこだわり、ソープの使用量を抑えながらも、素早くたっぷりと泡立つボディータオルに仕上げています。

「高い技術を持った職人さんや、営業スタッフ、販売店の皆さまなど、キクロンのタオルに関わった全ての方々のお力でいただけた賞だと思っています」と塩田さんは受賞の喜びを振り返っていました。

文部科学大臣表彰表彰盾と「ボディタオルアワスター」など

表彰盾と「ボディタオルアワスター」など、商品の数々

キクロン

代表者 代表取締役社長 嶋津俊宏
創業 1948年
本社工場 和歌山市森小手穂128
ホームページ https://www.kikulon.com
電話番号 キクロンお客様相談室
0120(72)5670
受付時間:午前10時〜午後5時
月曜〜金曜(祝日を除く)

読者プレゼント

キクロン商品7点セット

「キクロンAの日(7月1日)」を記念して、「キクロンA」の他、同社の人気商品を詰め合わせて(ボディータオル、洗濯・トイレ・お風呂用品)、5人にプレゼント!

応募方法  はがき、またはメールで応募を。
〒住所、氏名、年齢、電話番号、キクロンの記事の感想を明記し、〒640-8557(住所不要)和歌山リビング新聞社「キクロンプレゼント」係まで。
メールはliving@waila.or.jpの同係まで。
6月30日(金)必着。
当選発表は当選者にハガキで直接通知。
賞品は和歌山リビング新聞社で当選はがきと引き換えでお渡しします。

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