不動産のプロが伝授、知っておきたい賃貸の豆知識⑤トラブルになりやすい原状回復 入居時に状態の確認を
- 2017/8/17
- ハウジング
国交省がガイドラインを公表
故意・過失は借り主負担
今回は、賃貸住宅で最もトラブルが起こりやすい「原状回復」について、不動産・貸しビル業「三商」の代表取締役で、和歌山県宅地建物取引業協会広報啓発委員長の末吉亜矢さんが解説します。
「借り主は、退去時に元の状態に戻して部屋を返還する〝原状回復の義務〞がありますが、補修や修繕の費用を貸し主、借り主どちらが負担するかでよくもめます。裁判になるケースも珍しくありません。そういったトラブルを回避するためには最初が肝心!」と末吉さんは強調します。
賃貸借契約を結んで家具を運び入れる前に、まずは天井や壁の汚れ、床の傷、水回り、換気扇、エアコン、給湯設備などの状態を確認して、写真を撮っておきましょう。
「基本的な考え方として、退去時の通常損耗などの復旧と入居期間中の必要な修繕は貸し主、故意や過失、あるいは注意義務を怠ったために生じた損壊は借り主が費用を負担します」と。
具体例を挙げると、壁紙や畳の日焼けによる変色は経年劣化のため、原状回復の義務の範囲に含まれません。一方、喫煙による壁紙の変色や、カーペットに飲み物をこぼしたことによるシミは借り主の責任に。また、天井などから水漏れや雨漏りを確認した際は、できる限り早い段階で管理会社に連絡しましょう。「それほど気にならないからといって放置しておくと、自分は被害者なのにも関わらず善管注意義務違反として、後々、莫大な補修費を請求されるケースがあります。些細なことでも異常を発見したら速やかに報告してください」と末吉さん。
原状回復をめぐるトラブルについては、国土交通省がガイドラインをまとめています。範囲や金額をめぐって賃貸人と賃借人の考え方が異なる場合は宅建協会に相談を。
県宅建協会 | 073(471)6000 |
---|