心豊かに—。第2週発行号は「Good Life（上質な暮らし）」をテーマに特集を届けています。今回取り上げるのはオリーブオイル。栄養面で注目を集め、コスメにも使われる万能オイル。その魅力や活用法を〝オリーブオイルソムリエ〞に聞きました。

健康志向が高まる中、注目された
ヘルシーオイルの先駆け的な存在

皆さんはオリーブオイルをどのように使っていますか？炒め物に、イタリアンに、サラダを食べるときのドレッシング代わりに、パンにつけて食べる…。今ではオリーブオイルはぐんと身近になり、家庭で活用している人も多いのではないでしょうか。

最近は、エゴマ油やココナッツオイルなど、さまざまなヘルシーオイルが登場し、注目を集めていますが、オリーブオイルはその先駆け的な存在です。今回は、そんなオリーブオイルの魅力や活用方法などについて、オリーブオイルソムリエであり、白浜町で夫と共に「南紀白浜オリーブ農園」を営んでいる廣岡尚実さんに聞きました（下記参照）。

また、これから寒さがいよいよ本格的になり、空気も乾燥するシーズンです。オリーブオイルの恵みを生かして、コスメを手作りしてみませんか。美容オリーブオイルとアロマ精油を原料として、マルチに使えるアロママッサージオイルを作る1日教室を、リビングカルチャー倶楽部（くらぶ）「フォルテ教室」（和歌山市本町）で開催します（こちらも下記で案内しています）。

この冬、オリーブオイルの潤いで健やかに過ごす提案です。

その恵みは豊富なオレイン酸

LDLコレステロールを低下
酸化しにくい一価不飽和脂肪酸

日本オリーブオイル協会と、本場イタリアの協会認定によるダブルの〝オリーブオイルソムリエ〞資格を持つ廣岡尚実さん（写真）。共にオリーブ農園を営んでいる夫も両オリーブオイルソムリエ資格も持つフレンチの料理人で、自分たちでオリーブを栽培。オイルを搾油し、「白浜産エキストラバージンオリーブオイル」として販売しているほか、オリーブオイルやオリーブの葉、また自家栽培の果物などを使ったジェラートも手がけています。

「夫婦共にオリーブオイルにみせられ、夫がシェフとして腕を振るっていたフレンチレストランを閉店し、それからはオリーブ一筋です」。そう笑顔で話す廣岡さんに、オリーブオイルの魅力を語ってもらいました。

「なんといっても、オリーブオイルはその栄養分が優れています。中でも、オリーブの果実を搾ってろ過しただけの、化学的処理を行っていない〝エキストラバージンオイル〞には、オレイン酸が約70％も含まれています」と説明する廣岡さんによると、この〝オレイン酸〞は脂肪酸の一種。油脂類の栄養素である脂質は、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類され、さらに不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれます。オレイン酸は、この一価不飽和脂肪酸です（下図参照）。

脂質は人が活動をする上でエネルギー源となります。また、コレステロールも脂質ですが細胞膜やさまざまなホルモンを作るなど、大切な役割があります。生活習慣病の因子として挙げられるのは、血液中に溶け込むコレステロールですが、これにはLDLコレステロール、いわゆる悪玉と、HDLコレステロール、いわゆる善玉があることはよく知られています。LDLはコレステロールを体内に運ぶ役割を持ち、HDLは血管壁にたまったコレステロールを回収します。体内にコレステロールをためるため〝悪玉〞、回収するので〝善玉〞と表現されますが、それぞれには大切な役目があり、共に体内に必要不可欠なもの。適度なバランスが崩れると脂質異常症となり、動脈硬化、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因となります。

オイルの恵みをからだ中に感じて
食にも美容にも、マルチに活用

動物性の飽和脂肪酸にはLDLコレステロールが多く含まれ、また現在の一般的な食生活では、つい摂取過多になってしまいがち。

一方、植物性の不飽和脂肪酸には、血液中のLDLコレステロールを下げる作用があります。ただ、多価不飽和脂肪酸は熱や光、また空気などで酸化しやすく、過酸化脂質となってしまうと、がんや老化、動脈硬化の原因となります。「その点、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は〝酸化しにくい〞という性質を持っているのが特徴なんです」と、多価不飽和脂肪酸との違いを強調する廣岡さん。「血管壁にたまったコレステロールを運んでいき、酸化しづらい。まさに体の中を潤滑油としてめぐります」とも。

「加熱による酸化に対して強いので、炒め物などの高温調理にも適しています。オレイン酸の効能に加えて、皆さんが調味オイルとして使っているように、味わいがとても良いので、食生活に用いやすいんですよね」と廣岡さん。さらに、オリーブにはビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化作用の高い成分も含まれています。

こうしたオリーブオイルの恵みは美容面でも注目され、最近はコスメに活用されることも多くなりました。「例えばクレンジング。ファンデーションには油分が含まれていますから、油対油でなじませて落とすことができます。皮脂汚れ落としにマッサージオイルとして使ったり、ヘッドスパなどのマッサージにも。冬場は乾燥してカサカサしやすい手や唇に保湿として塗っても良いと思います」。そう話す廣岡さんおすすめのオリーブオイル〝活用法〞をまとめてみました（下記参照）。

体の中からも外からも、健康維持のために活用できるオリーブオイル。あなたも、もっと使ってみませんか。今回は、美容オリーブオイルを使った手作りコスメの教室を企画しました（下参照）。自分で作ったコスメで、あなたも潤いを実感してみてください。

美容にも

＊ヘッドスパ

シャンプー前にオリーブオイルを手に取って頭皮になじませ、しっかりとマッサージします。お湯でしぼったタオルを頭に巻いて、5分程度置いてから、シャンプーでしっかりと洗い流します

＊ボディーオイルとして

湯上りの仕上げ、バスタオルで体を拭く前に、水分の上からオリーブオイルを体になじませると、しっとりとした仕上がりになります

＊クレンジングとして

＊乾燥しがちなハンドケアに

＊ネイルの手入れ

＊かさつきがちな唇に

こんな食べ方があるよ

お菓子やパン作り

クッキーやパウンドケーキ、またパンなどを手作りするときにもオリーブオイルは使えます。バターやマーガリンなどの8割の分量のオリーブオイルで代用できます（そのほかの料理でも可）

アイスクリームに

アイスクリームにかければ、またひと味違ったスイーツに。ちょっぴりゴージャスな味わい

納豆にかけて

納豆にも合います！納豆のムチンや酵素のパワーに加え、さらにヘルシー食品に

みそ汁に入れて

和食派、年配者もみそ汁でなら抵抗なく食べられるかもしれません。一度お試しを

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