一緒に考え、行動しよう
子どもたちのSDGs

 日本でも取り組みが進むSDGs。子どもたちも学び、アクションを始めています。「言葉は知っているが詳しくは分からない」「自分にはあまり関係がない」…。そう思っていた大人も、これからの社会のために今できることを一緒に考えませんか。

持続可能な社会の創り手に

小学校では昨年度、中学校では今年度に導入された「新学習指導要領」。この改訂で注目されているのが「SDGs教育」です。指導要領の前文や総則に「持続可能な社会の創り手となる」という言葉が明記され、“創り手”育成を目指した教育が実践されていきます。また、和歌山県内の公立小学校で採用されている社会科6年生の教科書には、「SDGs」を学ぶページも登場しています。

教育現場で進んでいる子どもたちのSDGsにつながる学びについて、昨年度に取り組まれた和歌山市の3校の学習を紹介します。

学校全体に広がった食品ロス削減の意識
~有功東小学校5年光組(昨年度)のみんな~

4年生で食品ロスについて学んだ経験を生かし、身近な給食の食べ残し削減に取り組みました。クラスだけじゃなく、学校全体で削減できるように呼びかけ、みんなで実践。“食べ残し0(ゼロ)”にはできませんでしたが“食べ物を無駄にしない”意識が学校全体に広がりました。さらに、給食の調理で出る野菜クズで肥料を作り、大根栽培に活用。食物の循環を実体験しました。

 

友ヶ島に流れ着く海洋ごみ調査に協力
~松江小学校5年1・2組(昨年度)のみんな~

昨年のレジ袋有料化をきっかけにプラスチックごみについて知った子どもたちは、友ヶ島で海洋ごみを調査する大阪府立大学の研究室に協力。また、和歌山環境保全公社による、和歌山の海を守る「うみわかまもるプロジェクト」とも連携し、啓発紙芝居を作って実演しました。3学期には、自分たちの小学校区でごみ拾いをして、集まったごみをアート作品に! 地域で展示してもらうことができました。

 

日本遺産・和歌の浦を誇り、これからも守る
~雑賀小学校6年3組(昨年度)のみんな~

身近な日本遺産・和歌の浦を巡り、その魅力を知るとともに、海の豊かさに気付きました。同じく日本遺産の加太も海のまち。加太を調べるうちに、友ヶ島の海洋ごみ問題に直面。海の環境を守ることの難しさも学びました。自分たちにできることをしようと、和歌の浦で美化活動に取り組み、まちの素晴らしさを伝えるポスターを制作。地域のサミットに参加し、発表も行いました。

臼井さんに聞く
ようこそ!“SDGs”へ

臼井達也さん
“持続可能な社会づくり”の実現に向けて活動を行うNPO法人の「わかやま環境ネットワーク」事務局長。SDGsの啓発にも力を入れ、同NPOの活動に取り入れています

今からでも遅くない、できることから
小さなアクションも集まれば大きな変化に

2015年、国連で採択された世界共通の目標「SDGs」。Sustainable Development Goals(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)の略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」。17の目標が設定され(左記参照)、2030年までに達成することを目指しています。

冒頭で紹介したように、子どもたちはそれぞれの年齢に応じて、SDGsについて学び始めています。では、私たち大人はどうでしょうか。「SDGsって何?」と聞かれたら、答えられますか。

そこで、「わかやま環境ネットワーク」の事務局長・臼井達也さんに、SDGsについて解説してもらいました。

「まずは、その概念から簡単に説明すると、世の中にある“困り事”を整理して分かりやすくしたものが“SDGs”なんです。世界にはさまざまな課題が複雑に絡み合っています。それらを一つ一つ書き出して分類し、17の目標としてまとめられています」と、臼井さんは話します。

17の持続可能な開発目標 それぞれにアイコンが決められています

「理解を進めるのによく用いられるのが、SDGsの“ウエディングケーキモデル”」と臼井さんが、教えてくれたのがイメージ図。

SDGsの“ウエディングケーキモデル”のイメージ図

1~16までの目標が「経済」「社会」「環境」のジャンルに分けられ、ケーキの土台に「環境」、その上に「社会」の基盤につながるもの、さらに上に私たちの「経済」の活動についての目標が積み上がっています。

「例えば14『海の豊かさを守ろう』という一つの目標が果たされなかったとすれば、それは17のうちの一つの目標に過ぎないかもしれませんが、この土台の“14”一つが欠けることで、ウエディングケーキは崩れてしまいます。私たちが日ごろ行っている経済活動は、社会の基盤が整備されているからこそ成り立ち、その社会基盤があるのも豊かな環境が守られているからなんです」と、臼井さんはその関係性を説明します。そして、ケーキの上には17「パートナーシップで目標を達成しよう」があります。

「新郎新婦が二人でケーキに入刀をするようなイメージです。大人も子どもも、企業も消費者も、そして国籍に関わらず世界中の人が手を携え、これらの目標に向き合いましょうとSDGsは呼びかけているんです」

例えば、私たちの普段の行動“買い物”について考えてみましょう。それは12の「つくる責任つかう責任」につながる行動ですが、環境に配慮して作られた商品かどうかを考えてチョイスできれば、13や14、15の目標達成につながります。また、その商品が過酷な労働条件で作られたものや(8、10)、子どもの労働により作られたものであるなら(4)、それを選ばないというアクションで、それぞれの目標達成に貢献できます。

「何か商品を手にしたときに、“材料は何かな”“どこで作られたのかな”と、思いを巡らせてみてください。まさに、SDGsの真ん中に自分がいることが分かります」と臼井さん。2030年にはどんな社会になっているか、思い描けますか。一人でも多くの人が幸せだと感じられる社会の実現に向けて、SDGsを知ることから始めましょう。

リビング和歌山は地域のSDGs活動を応援します

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