視点を変えることで
煮詰まっている子育てが楽に

編集仲間のBが、「仕事を長く続けているので自信もつき、何があっても少々のことでは動じないぞというタイミングで子どもを産んだのに、起こることの何もかもが予想外、こんなにもオタオタする自分を想像していなかった」と嘆くのです。そして、「忘れ物が多いし、子どもの生活リズムが整わないと保育園で注意されてばかり。ママとしての私はダメダメ」だと落ち込みます。

仕事はがんばれば何かしらの結果が出るけれど、子育ては相手が〝生もの〞なのでそうそう思い通りにはいきません。ハプニングの連続と時間との戦いで、「仕事をしている方が百倍マシ」と多くのママが思っているはず。でもね、自分を追いつめないで。子育てには必ず終わりがくるのです。

仕事をしながら(不出来ではありますが)二人の子どもを育てた身としては、子育てを楽しめとまでは言えないにしても、「たまには視点を変えて、子どもの成長を見通すと心が軽くなりますよ」と伝えたい。0歳から6歳のスパンで子どもを見通し、「今はここだからしんどいけれど、あと数年すればここにくる」と成長過程をとらえてみることをおすすめします。

パパたちに育児ノイローゼがないのは(子育ての傍観者だからという非難があるにしても)、この考え方ができるからかもしれません。もちろん、パパたちには〝バディー〞として子育ての悩みを共有し、共感してほしいのですが、煮詰まっているママたちの視点の方向を変えて、ちょっと楽にしてあげてほしいのです。パパの仕事の一番は「ママを笑顔にすること」かもしれませんよ。

パパがそうであるように、ママも、ママとしてだけ生きているわけではありません。仕事をしている部分も、妻としての部分もあるのです。子育ては重要なこと、最優先課題ではあるけれど、すべてではないはずです。

そんなママたちに絵本『わたし』(出版=福音館書店、谷川俊太郎/作、長新太/絵)をぜひ読んでほしい。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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