建築費の高騰で家づくりが多様化
物価高や資材の値上がりなどにより、新築住宅の価格が上昇傾向にあります。一方で、宅地や中古住宅には影響があるのでしょうか。シリーズ7回目は、「和歌山県下の宅地・中古住宅事情」について、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・末吉亜矢さんが解説します。
まず、宅地から。「9月に和歌山県が2024年の基準地価(7月1日時点)を公表したように、土地自体の価格変動はこの数年大きく変わっていません」と話す末吉さん。住宅地の地価は34年連続で低落が続いていますが、下落率は3年連続で縮小。和歌山市の宅地は34年ぶりに上昇しました。「利便性に優れ、住居環境が良好な中心地は人気。海沿いから離れ、水害や土砂災害を受けにくい点も評価されているのでは」と分析します。
「土地価格の変動よりも、建築費の高騰の方が目立ちます」と、末吉さんは指摘。「マイホームを建てる場合、土地と建物の総額でローンを組むことが一般的です。そのため、建築費用がかさむ新築は、総額が高くなる傾向にあります」。「2023年度戸建注文住宅の顧客実態調査」(住宅生産団体連合会調べ)では、「住宅面積の縮小」「住宅のグレードや性能を下げる」などして、新築の建築費を抑えるという声が挙がっていました。
中古住宅については、「今年4月から相続登記が義務化され、中古物件が、より流通するようになりました」と末吉さん。特に空き家は、管理が不十分であるほど、建物や土地の価値が下がります。「そのため、『価格を下げてでも、早めに処分したい』という売り主もいます。本体価格の安い中古物件を購入して、浮いた予算でリフォームやリノベーションするのも手です」
また、末吉さんは、「将来のローン返済や修繕費を考慮して賃貸を選ぶなど、マイホーム選びは多様化しています」とも。「住む人の年代や家族構成によって、家のニーズも変わります。無理のない返済でマイホームがかなうよう、資金計画は慎重に」とアドバイスをしてくれました。
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