セットバックの後退部分は建築不可
土地の法規制を知って、学んで、後悔しない家づくりを。和歌山県宅地建物取引業協会が指南する、土地探しシリーズの3回目は「接道義務」について。広報啓発委員長の末吉亜矢さんが解説します。
前回の5月25日号では、都市計画法の規制により、建物の種類やその用途、大きさ、高さなどの制限を地域ごとに設ける「用途地域」について解説しました。「自分の土地であっても、建築制限がかかるのは接道義務も一緒です」と、末吉さんは話します。
接道義務とは、建築基準法で定められた道路と敷地に関する規定です。「家を建てるには、家の前面道路の幅が4メートル以上あり、また、その道路が敷地に最低2メートル接していなければならない、というルールがあります」と末吉さん。「これは災害時の避難経路や救急車両の出入りスペースの確保のためです」と説明します。
現在の建築基準法が施行される前に造られた道路には幅4メートル未満のものが多く、行政が指定すると同法上の道路として扱われます。「この場合、道路の中心線から敷地を2メートル後退させると、建築が可能に。これを『セットバック』といいます」
しかし、後退部分は道路と見なされるため、建物を建てることはできません。「建物だけじゃなく、門や駐車場、植樹スペースなどにも利用できません。また、建ぺい率や容積率はこの後退部分を除いた敷地面積から求められ、必然的に建物が小さくなるので注意が必要です」とも。
セットバックが必要な土地に建つ中古物件を購入する場合、そのまま住むのであれば問題ありませんが、建築確認が必要な増改築や建て替えを行う場合は、セットバックが義務付けられます。
一方で、制約が多い土地だけに、相場よりも安価で売られているメリットも。「購入を検討する際は、不動産の状態や法令に基づく制限などが書かれた『重要事項説明書』に目を通し、希望する家が建つ土地かどうかの確認を。不明な点は、不動産仲介業者に相談してくださいね」と、最後に話していました。
不動産に関する相談は宅建協会まで
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