隣地使用権が一部改正、4月から施行
昨年4月にスタートした和歌山県宅地建物取引業協会の「土地の法規制」シリーズ。最終回は2月25日号に引き続き、「隣地境界線」や一部改正して来月から施行される「隣地使用権」について、広報啓発委員長の武田雅博さんが解説します。
隣の土地との境目を示す隣地境界線。住宅地では境界を塀で仕切るのが一般的です。「塀を新設する場合は隣地所有者に塀の形状を伝え、境界線を確認し、合意を得てから建てます」と武田さん。
塀がある土地や家を購入するときに気を付けたいのが、建てられてから年月がたつブロック塀。ブロック塀には高さや厚み、塀の倒壊を防ぐ控え壁の設置など、建築基準法に基づく規定があります。「現在の規定に合わず修繕する場合、費用は基本的に塀の所有者が負担します。塀が境界線上にあれば、隣地との共有物になり、話し合いが必要です」
隣地との関わりで、境界線と同様に知っておきたいキーワードが「相隣関係」です。「相隣関係とは、隣地と自分の土地の利用を調整し合う民法の用語です」と、武田さんは説明します。
4月から施行される民法改正で、塀などの工作物の築造・収去・修繕や、境界の調査など、一定の目的があれば隣地が使えるよう、「隣地使用権」のルールの見直しが明文化されました。また、電気・ガス・水道などのライフラインを自分の土地に引き込むための設置・使用権も明確化。隣地から越境する竹木の枝の切除のルールも見直されました。
「この改正の背景には、全国的に増えている所有者不在・不明の不動産問題があります。隣が空き地や空き家のために、自分の土地を利活用できていなかった人には朗報です」と武田さん。しかし、「所有者が分かっていれば、事前通知が原則必要です」と付け加えます。「お隣さんとは、付かず離れず上手に付き合いたいもの。トラブルになりそうなら、宅建業者など専門家に相談してください」とも話していました。
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